経団連くりっぷ No.87 (1998年10月8日)

国土・住宅政策委員会(共同委員長 今村治輔氏)/9月17日

小杉衆議院議員からPFIの推進について聞く


国土・住宅政策委員会では、PFI推進部会を中心に、わが国におけるPFIの推進に向けた諸課題等について検討を行なっているが、その一環として、9月17日、自民党PFI推進調査会会長代理の小杉隆衆議院議員から「わが国におけるPFIの推進について」説明を聞いた。
当日は、PFI推進部会におけるこれまでの検討結果を踏まえ、「PFIの推進に向けて」と題する提言案の審議を行ない、承認された。本提言は9月22日開催の理事会審議を経て、同日、関係方面に建議された(提言概要は本誌10頁参照)。以下は小杉隆衆議院議員の説明要旨である。

  1. 「PFI推進法案」を巡る動き
  2. 自民党は、昨年秋から相次いで打ち出した経済対策のなかに、新しい社会資本整備の手法であるPFIを盛り込んだ。これを受けて、自民党内にPFI推進調査会(会長 山崎拓氏)を設置し、精力的に検討を行ない、いわゆるPFI推進法案を作成した。本法案は、他の与党との協議を経て、5月に議員立法により衆議院に提出された。
    前通常国会は会期切れで継続審議とされたが、今臨時国会では、金融関連法案の審議の目処がつき次第、建設委員会で検討が行なわれる予定である。
    政府でも、内閣内政審議室や経済企画庁が中心になって、来年度予算の概算要求や税制改正要望をとりまとめた。また、経済企画庁内にPFI推進研究会を設置するなど、本臨時国会における法案成立を睨んで、検討を本格化させている。

  3. 欧州PFI調査団の派遣
  4. 欧州におけるPFIの状況を調査するため、本年7月、関係の国会議員でフランス、ドイツ、イギリスを訪問した。
    フランスでは、先般、ワールドカップ・サッカーが開催されたフランス・スタジアムが、PFI施設として、民間企業のコンソーシアムにより建設・運営されている。本施設は、観客席を収納してコンサートホール等にも利用できる。今後、3年間にわたって各種催しの予約で一杯であり、30年間で投資を回収できる見通しという。民間企業の経営主導権が強く感じられた。
    ドイツでは、東西ドイツ統合後、東ドイツの社会資本整備、特に道路網の整備が急務の課題となっているが、予算上の制約から、従来の公的資金だけでは足りない。そこで、民間セクターの資金を活用した道路整備が行なわれている。
    イギリスでは、1993年度当初0.5%だった公的資本支出に占めるPFIの割合が、98年度には14%になるなどPFIが定着してきている。国が行なう公共事業のすべてについてPFI手法の活用を検討したり、強力な権限を持つPFIタスクフォースを設置したことなどが、PFI定着に大きく寄与したと考えられる。
    わが国においても、今臨時国会でPFI推進法案を成立させ、PFIを生み育てていきたい。


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