経団連くりっぷ No.101 (1999年5月13日)

第607回理事会/4月20日

コンピュータ西暦2000年問題への対応について最後の総点検を


理事会では、昨年10月の常任理事会に続いて、コンピュータ西暦2000年問題への対応について、通産省の広瀬勝貞機械情報産業局長から再度説明を聞いた。

  1. 対応の進捗状況
    1. 中央省庁のシステム
    2. 6月末までに模擬テストを完了予定。

    3. 民間部門のシステム
      1. 重要分野

        1. エネルギー
          例えば、電力の模擬テストの進捗率は85%、10月頃までには完了予定。

        2. 金融
          模擬テストの進捗率は73%。各金融機関はネットワークでつながっており、一部の不具合がシステム全体に影響を与えるため、問題発生時に該当機関をネットワークから外す等の危機管理対応も試行中。

        3. 情報通信
          電気通信の模擬テスト進捗率は約70%。

        4. 交通
          航空機体については、メーカーとすり合わせ中。官制システムは国内の模擬テストは完了。現在、国際的な調査を国際機関が実施中。航空会社の運用システムは、7月までに模擬テストを完了予定。

        5. 医療
          供給サイドの点検中。医療用具は個別に検査中。年内には対応完了予定。

      2. 中小企業

        中小企業に対しては種々の支援策を講じており、大分進んできているが、未だ事務処理系システムの約2割、制御系システムの約4割が未検討ないし検討中の状態。

  2. 今後の対応のポイント
    1. メインフレーム、サーバー、パソコンといった目に見えるものへの対応もさることながら、各製品に幅広く使用されているマイクロコンピュータのチェックが重要である。特に年月日を表すリアルタイム・クロック機能を有するマイクロコンピュータを使用した、データ記憶装置、ATM(自動現金預け払い機)、POS端末、クレジットカードの読み取り端末、ファクシミリ等への注意が必要である。

    2. 海外に輸出しているシステム等のチェックも必要である。2000年問題への認識は、各国によって隔たりがあるので、輸出先への告知等にも十分配意する必要がある。

    3. いずれにしても、システムの修正、模擬テストを完了することが先決である。その上で、不測の事態が生じた場合の情報収集・連絡体制の構築、対象システムのプライオリティづけ、プライオリティに応じた要員・資材の確保等の危機管理計画を策定しておく必要がある。


くりっぷ No.101 目次日本語のホームページ