経団連くりっぷ No.114 (1999年12月9日)

証券決済システムの抜本的改革

−安全性、効率性、利便性の観点からの早期改革が必要


わが国の現在の有価証券の受渡・決済システムは、図に示すように、国債、株式、社債、CPといった種類毎に別個に運営されているため、システムの重複運用や二重投資といった効率性の問題がある。また、約定日から決済日までの期間が諸外国より長いため、市価変動などの決済リスクが大きいといった安全性の問題もある。そのため、市場参加者から、未決済金額の縮小と未決済期間の短縮による決済リスクの最小化という安全性、ペーパーレス化や電子化による大量処理等の効率化、利用者の利便性が求められている。

こうした観点から、自民党金融問題調査会は本年8月に、証券決済システムの統合や合理化に向けた抜本的改革の検討を決定した。これを受けて大蔵省金融審議会と日本証券業協会が、それぞれ法制面と実務面からの検討を進めているので、経団連では、できるだけ早期に改革の方向を示すよう求めている。

(詳しくは8頁の提言「国際競争力ある資本市場の確立に向けて」参照)


証券種年間売買高
(兆円)
本年度末残高
(兆円)
決済システム運営主体 証券形態DVP (※2)決済期間
国債1,060274日銀ネット 登録債(※1)+3
社債4046(株)債券決済ネットワーク 登録債T+5
株式246434証券保管振替機構 不動化×(※3)T+3
CP1,856(H9)16無し 発行××
※1:Tは約定を示すTrade
※2:DVP(Delivery Versus Payment)
※3:来年導入予定


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