日仏経済人ラウンド・テーブル/12月17日
経団連では、ジョスパン仏首相来日団随行として12月16日から18日にかけ来日したルスリーEDF(フランス電力)会長、シュヴァイツァー ルノー会長をはじめ仏企業幹部一行約17名を招き、熊谷副会長を座長に「都市生活とニュー・テクノロジー」というテーマでラウンド・テーブル(RT)を開催した。同RTでは、「東京」と「パリ」の現状と問題点につき、河野首都機能移転推進委員長およびシェーヌ・ゼムリー社会長からそれぞれ説明があった。その後、同説明をもとに、都市の再開発、環境、輸送・交通、情報技術等の主要4分野の問題について意見交換を行ない、会合の最後にジョスパン首相に報告した。(19頁参照)
都市再開発問題における私権制限と官民協力の分野で日仏には相違がある。仏では公益性が優先され、妥当な保障制度、それに対しての市民の協力が得られることが前提条件となっているが、日本では法制度が未整備の状態にあり、公益施設の建設・拡充が困難になっている。都市再開発を推進する前に、法的枠組みを欧米レベルに整備することが不可欠である。同分野での日仏の産業協力を推進していく上でも「権利」の概念等、日欧の法的整合性について官民を交えて議論し、解決していく必要がある。
産廃・一般ゴミ処理システムおよび下水処理の分野で、仏企業は技術と経験が豊富である。また、PFI導入により、民間に対して施設の委託管理等が一貫して行なわれている。中央政府、地方自治体、企業の役割分担が明確化されていることから、効率性が非常に高い。
日本においては、新交通システムおよび電気自動車の開発が進んでいる。同分野には仏企業および欧州企業も大変興味を持ち、その開発にも積極的に取り組んできている。同分野での技術の進歩は著しく、日仏の産業協力も可能である。今後、情報通信技術を基盤としたインテリジェント・トランスポート・システム等、効率性および安全性を追求したシステムを導入する必要がある。
情報通信は潜在性の高い分野であり、上記の各分野での技術革新の基盤になるとともに、同技術を取り入れた形の包括的な技術革新が求められている。テレビ会議による効率化、ヴァーチャル・ミュージアムによる需要刺激等、新技術の果たす役割は大きい。