経団連くりっぷ No.122 (2000年4月13日)

「郵便事業への民間参入の速やかな実現を求める」を建議


行政改革推進委員会(委員長:大賀典雄 ソニー会長、共同委員長:飯田 亮 セコム取締役最高顧問創業者)では、中央省庁等改革基本法が「政府は、郵便事業への民間参入について具体的条件の検討に入るものとする」としていることを受けて、ヨーロッパとオセアニアに調査チームを派遣するなど郵便事業への民間参入のあり方を検討してきたが、3月9日に本委員会を開催し、「郵便事業への民間参入の速やかな実現を求める(案)」をとりまとめた。同提言案は3月28日の理事会の承認を得て経団連の提言として政府・与党等関係方面に建議した。以下はその概要である。

はじめに

1.郵便事業の現状

2.民間参入の意義

3.民間参入のあり方

  1. 自由化の範囲
    • 郵便事業への民間参入を認めている国では、独占の範囲を手紙の重量、料金で定め、これをスケジュールに従って縮小するという方式を採用している。われわれは、わが国も、2003公社移行と同時に第一段階の自由化を行なうこととし、3年後に競争状態等をレビューして更なる自由化範囲の拡大を検討することを提言する。

    • 第一段階の自由化の範囲

      1. 民間の智恵を発揮させる見地から、即日配達郵便やバーコードによる管理(差出人が自分のパソコンで郵便物を追跡できる)等の付加価値郵便サービスを自由化する。
      2. 通常の郵便物については、私人が利用することが多いと思われる「50グラム以下かつ料金90円以下の手紙および郵便葉書(ダイレクト・メールを除く)」の送達は郵政公社の独占分野として残し、それを超える部分は自由化する。

    • 総務省が競争相手である民間事業者を監督することは公正競争上問題があり、中立的な監督機関を設置すべきである。

  2. ユニバーサルサービスの維持
    • ユニバーサルサービスの維持は大前提である。民間参入を進めた海外諸国では、段階的な自由化によって影響を見極める一方で、ネットワーク産業は全国ネットワークを保有するものが競争力を有するとの考えに立ち、従来からの郵便事業体のみにユニバーサルサービスの義務を課している。

    • 民間参入を促進する見地から、当面、郵政公社にユニバーサル・サービスを義務付け、競争の進展に応じてファンドの設置や民間事業者による代替を検討することとすべきである。

  3. 郵便事業の一層の合理化・効率化
    • 郵政公社は、中央省庁等改革基本法において、自律的かつ弾力的な経営を可能とするとされているが、一層の合理化・効率化を進めることが求められる。

おわりに


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