経団連くりっぷ No.126 (2000年6月8日)

企業のIT活用を阻むもの

−浮き彫りにされた法制度・規制の障害


ITの活用を通じた競争力の強化と新事業・新産業の創出は、今や企業にとって最重要課題である。しかし、経団連が実施したアンケートの結果、法制度や規制が企業のIT活用を阻害している実態が明らかになった(表)。

例えば、国税関連書類の場合、電子化できる書類が限られ、電子データと紙の保存が併存している。このため、ある損保会社の場合、関連書類の保管に年間10億円ものコストがかかっているという。また、申請・届出に際して、押印された書面の提出が必要なことは、企業の関連業務IT化の足かせになっていることも指摘されている。

さらに、現行規制の多くが、ネット上の企業活動を想定していないため、ITを活用した企業活動の利点が損なわれたり、それが行なえなかったりする実態が示されている。


IT化に対応した制度見直しアンケート結果
(調査期間:2000年3月下旬〜4月上旬、回答企業・団体数:63)

【寄せられた主な項目】

1.書類の電子化関連
  1. 税務関連書類の電子化と保存期間の短縮等
  2. 商業帳簿等の電子化と保存期間の短縮
  3. 固定資産税の納付書の様式統一と電子化等
  4. 申請・届出等関連書類の全面的電子化
  5. 入札資格関連書類の電子化
2.IT化に対応した現行規制等の見直し
  1. 通信販売における消費者への通知の電子化
  2. 保険販売に関する重要事項の書面交付等の電子化
  3. 一般酒類小売業者等によるインターネット上での酒類販売の実現
  4. インターネット上での医薬品販売の実現
  5. インターネット上での電子的手段を介在した書面交付による割賦販売の実現
  6. インターネット上での旅行取引の促進
  7. インターネット中古品オークションの促進
  8. インターネットを通じた職業紹介事業許可要件の見直し
  9. 株主総会の招集通知の電子化
  10. 下請取引における受発注の電子化に関わる公取委指導の廃止


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