OECD多国籍企業ガイドラインに関する説明会(司会 塩谷憲司 OECD諮問委員会委員長代行)/7月11日
6月末のOECD閣僚理事会において採択された改訂OECD多国籍企業ガイドラインについて、外務省経済局国際機関第二課の黒木大輔課長補佐、通産省産業政策局国際企業課の中園雅巳課長補佐ならびに同局知的財産政策室の俵幸嗣企画係長を招き、説明をきいた。(関連記事11頁)
多国籍企業ガイドラインは、OECD加盟国政府が、進出先国における多国籍企業の行動のあり方を示した勧告である。1976年の制定以来、今回で4回目の改訂となる。
今回の改訂では、前回改訂の1991年以降の、環境、労働、贈賄防止、コーポレート・ガバナンス等に関する国際的な取組みの成果を踏まえて、内容を強化・拡充した。
また、ガイドラインの促進や円滑な実施のために各国政府が設ける国内連絡窓口(NCP:ナショナル・コンタクト・ポイント)の役割も強化された。
こうした規律強化の背景には、多国籍企業の経済的発展への貢献の積極的評価とともに、貿易・投資の自由化や経済のグローバル化に対するNGO等市民社会の懸念への対応の必要性があった。
ガイドラインには法的拘束力がなく、その遵守が企業の自主性に任されていることについては、従来と同様である。
今回の改訂では、多国籍企業の定義やガイドラインの適用範囲等を定めた「定義と原則」、1997年のOECD外国公務員に対する贈賄防止条約等を踏まえた「贈賄の防止」、消費者への適切な情報提供等を求める「消費者の利益」の3章が新たに追加された。
内容面では、
現在、日本のNCPは外務省の国際機関第二課が担当しているが、今後は役割を強化していく。特に、ガイドラインの周知徹底を図り、できるだけ多くの企業が遵守するよう働きかけていく。
ガイドラインをめぐり問題が生じた場合、基本的には、当該国内法に基づいて処理されることになるが、NCPは当事者間による問題解決を促進する場を提供する。
* 説明会の議事録、ガイドラインの和訳等は、OECD諮問委員会発行の『BIAC NEWS』に掲載予定。