経団連くりっぷ No.136 (2000年11月22日)

なびげーたー

産廃情報ネットの活用を

参与 太田 元


わが国における資源循環型社会の構築に向けた取組みが進む中、廃棄物処理・処分施設の確保や不法投棄の防止に関し、官民連携の必要性と役割分担のあり方がみえてきた。

  1. 資源循環型社会の構築に向けた産業界の自主的取組みが進む中、民間の努力だけでは解決できない課題がある。ここでは、緊急の課題としての廃棄物処理・処分施設の確保、不法投棄未然防止の一助としての産廃情報ネットをとりあげる。

  2. 厚生省の調査によると、最終処分場の新規許可件数が激減しており、残余年数は平成11年9月末現在で1.6年まで減少している。最終処分量がゼロになることは常識的にあり得ないため、受け皿となるリサイクル施設とならんで処分施設の整備促進は、わが国にとってまさに緊急の課題である。
    なぜ、これら施設の整備が進まないのかといえば、不信感を持つ周辺住民をはじめ利害関係者の合意を得られないからである。廃棄物処理法では、産業廃棄物の処理責任は排出者にあるため、排出者である企業が施設を整備すべきである。ところが現実には、企業側が人員、資材、資金、技術を手当てしても、利害関係者の合意が得られず、施設整備ができない。
    経団連ではさる10月、産業新生会議において、廃棄物処理に係る規制改革とならんで、リサイクル施設、廃棄物処分施設の整備等に対する国・地方公共団体による公共関与の必要性を訴え、森首相の賛同を得た。

  3. 住民の信頼を得るには、不法投棄の未然防止の徹底が必要である。厚生省の調査では、平成10年度の不法投棄量は44.3万トンであり産業廃棄物排出総量の0.1パーセント強であるが、このことが産業界への不信につながり、リサイクル施設や処分施設の整備が進まない最大の原因になっている。
    今後、排出者である企業は、いままで以上に適正処理の確保に気を配り、優良業者との連携強化等に努めていくことで、産業廃棄物への不信感を払拭していかねばならない。しかし、企業側が間違いのない優良事業者と連携しようにも、処理業者に関する情報が不足していたため、どのような事業者がどのような理由で優良事業者なのかを判断することが難しかった。経団連は、かねてより、国や地方公共団体に対し、処理業者に関する情報提供や優良な事業者を選定し推奨する「マル適マーク」の導入、ドイツで行われている「監査制度」の導入等を求めてきた。

  4. この点、漸く、今年の12月から(財)産業廃棄物処理事業振興財団が、国の助成を受けて「産廃情報ネット」サービスを開始する。このサービスは、全国の産業廃棄物処理業者に関する情報を」データベース化して公開するという新しい試みである。この「産廃情報ネット」が優良事業者を選定する際の有効な手段になると期待している。関係各位にも、ぜひ利用していただきたい。(16頁参照)


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