「米国経済の減速傾向と世界経済の成長の鈍化が予想されるなかで、欧州経済は依然として堅調であり、今年も3%近い成長をするものと予想されています。過小評価傾向にあった新通貨のユーロも、再評価されつつあります。このように為替が安定することは、日本の経済界にとっても大変好ましいことです。
EU統合の拡大と深化は、欧州マーケットの一層の拡大につながるものです。日本の経済界にとっても大きな関心事項であり、その動向には常に期待と注目をしているところです。
日本とEUの間では、今年より新たな『日欧協力の10年』をスタートするため、日・EU首脳協議に向けて、『政治文書』を作成中と伺っています。経団連としても、これまで以上に欧州の政界・経済界首脳との対話を重視し、経済関係の分野を中心に日欧関係の更なる強化に努めていきたいと考えています。」(6頁参照)
「先般、2000年7−9月期のGDPが大幅に下方修正されて、伸びがプラスからマイナスになってしまいました。これまで日本の統計は、『遅いが正確』と言われてきましたが、今、正確さが問題になっています。GDP統計の基礎となる諸統計の精度が落ちており、経済社会の変化に追いついていません。
統計の抜本改革の第1は、各省庁が個別に調査を行っている諸統計について、企画・立案・実施を内閣府の下に一元化することです。小売物価統計、消費に関する家計調査は総務省、設備投資に関する法人企業統計は財務省などとなっています。これを内閣府に一元化していくのが望ましいと思います。
第2は、統計に携わる人員の配分を効率化することです。国の統計に従事する公務員9,000人のうち、農水省が6,000人、総務省が1,600人です。一方、旧経済企画庁は70人にすぎません。
経団連は、統計の抜本改革の必要性について、これまで何度も提言しています。21世紀政策研究所でも、近く提言を行う予定です。内閣府において、是非、抜本改革を検討してもらいたいと思います。」