経団連くりっぷ No.148 (2001年5月24日)

経団連意見書/4月27日

「会社機関の見直しに関する考え方」を公表


4月27日、経団連経済法規委員会(共同委員会:千速 晃氏)は、4月18日の法制審議会会社法部会を経て各界に意見照会された「商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案」について、緊急に考え方をとりまとめ、公表した。当意見は5月22日の理事会において追認された。以下はその全文である。

法制審議会会社法部会がこのほどとりまとめた「商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案」(以下「中間試案」)は、経団連が昨年10月に公表した「商法改正への提言」と大筋において軌を一にするものであり、国際競争の激化、IT革命の進展等、経済社会の変化に対応した内容となっている。しかし、「会社の機関」関係については、理念が先行し、規制強化により企業経営の自治や機動性を阻害することが懸念される事項が含まれている。そこで、中間試案全体については、改めて詳細なコメントを提出することとするが、下記の懸念の点につき、取り急ぎ、考え方を示すものである。

  1. 企業経営における自治の尊重
    1. 大会社についての社外取締役の選任義務について
      大会社に対する社外取締役の設置強制は、経済界が支持してきた監査役(会)機能の強化が議員立法で進められている中、これを考慮しない提案である。社外監査役に加えて社外取締役を設けるかどうかは会社の自治に任せるべきである。また、現実的にも供給源が限られていることから、適切な人材の確保が困難である。

    2. 大会社における取締役の任期短縮について
      大会社の取締役の任期について、現行の最長2年を1年とすることは、経営者が短期的成果のみを重視したり、取締役会の経営監視機能の低下を招いたりする惧れがある。取締役の任期は現行どおり「2年を超えない範囲」とすべきである。

  2. 経営手法の選択肢拡大
    −大会社による各種委員会制度並びに執行役制度の導入
  3. 選択制とはいえ、3つの委員会と執行役を一体の制度として導入することは硬直的である。設計の模範としたと思われる米国でも、委員会の設置は上場規則で定めており、しかも監査委員会のみが必置とされている。企業が部分的な選択(代表取締役制度と執行役制度の選択、監査役制度と監査委員会の選択等)ができるように改めるべきである。

  4. 機動的経営のための権限のあり方
  5. 重要な子会社の株式の全部譲渡・他社株式の全部取得を行ったり、株主割当によらずに発行済株式総数の一定の比率(例えば5分の1)を超える新株を発行したりする際に、株主総会の特別決議を要するものとすることは、機動的に再編や提携を推し進めることを阻害するものである。現行どおり、取締役会決議で執行できるものとすべきである。


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