経団連意見書/4月16日
近年、ベンチャー支援制度の整備が進んでいるが、実効性などの面で改善すべき点が残されている。また、わが国の起業家精神は、国際的に見ても低いなどの評価がなされている。そこで、新産業・新事業委員会(共同委員長:出井伸之氏、高原慶一朗氏)では、誰もが起業家精神を発揮できる社会を実現するための課題について、企画部会(部会長:鳴戸道郎氏)を中心に検討を行った結果、標記提言を取りまとめ、4月16日の理事会の承認を得て、政府・与党等関係方面に建議した。以下はその概要である。
(1) 政 府
−省庁横断的な官民共同の「創業戦略会議」の設置と効率的な支援体制の整備−
起業税制の整備
規制改革の推進
IT関連分野や医療・福祉など生活関連サービス分野の規制・制度の抜本的見直し、経済の活性化および高コスト構造見直しのための規制廃止・緩和等
政府調達の改善等
入札参加に係る実績主義・規模制限の廃止、中小企業技術革新制度の拡充、PFI活用等
(2) 地方公共団体
−地域資源を活かした地域経済の活性化−
地域における人材ネットワークの構築
人的・物的資源のデータベース化、アドバイス・情報提供のワンストップサービス部門の設置、経営面の専門家とベンチャー企業経営者との交流の場の設置
地域インキュベーション機能の強化
情報提供・経営指導等のソフト面の支援機能の強化、技術・専門家を有する大学との連携強化
地域特性に合わせた新産業・新事業の推進
公的施設の貸与等、地域経営戦略の策定、地方税の減免等
(3) 大 学
−高度な人材と技術を活かした地域産業振興への貢献−
大学発ベンチャー企業の創出
起業家教育の拡充
(4) 大企業
−豊富な経営資源を活かしたチャレンジ−
革新的企業風土の醸成
経営者のリーダーシップ、努力が報われ失敗しても再挑戦できる人事・評価システムの確立
コーポレートベンチャーの推進
社内サポートセクションの設置、ベンチャー企業教育の実施
独立ベンチャー企業との連携
組織の活性化効果、サポート機能の充実
自立性、独創性、決断力の涵養および職業体験やビジネスの仕組みに関する学習等のカリキュラム
教育関係者と産業界との交流機会等の拡充、インターンシップ制度の推進
ベンチャー企業経営者と経団連会員企業経営者が交流する「起業家協議会(仮称)」の設置