月刊 keidanren
1995年 3月号
巻頭言
産業空洞化について思う
鈴木 精二
(経団連副会長)
特集
産業の空洞化論に応える
【座談会】
青井 舒一(経団連副会長/東芝会長)
今井 敬(経団連経済構造問題委員長/新日本製鐵社長)
得本 輝人(日本労働組合総連合会副会長)
伊藤 元重(東京大学経済学部教授)
内田 公三(経団連常務理事)
- 各界の代表者が空洞化の処方箋を探る。「国全体の産業構造を新しい視点から見直せ」(青井氏)、「行き過ぎた円高、経常黒字、内外価格差の是正のためには規制緩和しかない」(今井氏)、「公正な競争とは何かという問題意識が必要」(得本氏)、「次の世代のやる気が出るような仕事を長期的に創ることができるか」(伊藤氏)等の発言。
ドイツにおける産業空洞化をめぐる諸問題
中川 巌(デュッセルドルフ商工会議所会頭)
- 「空洞化」はドイツにも起こった。しかし、日本とは為替相場の推移、貿易摩擦の度合など違う点も多い。両国の空洞化の相違点を明らかにし、空洞化論の空洞化を防ぐ。
アメリカの空洞化に学ぶもの
伊藤 孝(三菱銀行調査部長)
- アメリカは産業の空洞化をどう克服したか。アメリカ企業が海外進出の一方で、アメリカ国内の製造業の競争力強化を図ってきたことを明らかにする。
国際分業の時代
─ 空洞化、恐るるに足らず
原 禮之助(セイコー電子工業副会長)
- 空洞化を嘆いてもしかたがない。マイナスの影響を逆に国際的協調への実力をつける機会と捉えるべきだ。
日本資本市場の空洞化
チャールス・K・ホワイトヘッド(野村證券インターナショナル・ホールディングアメリカ ディレクター/デュプティージェネラルカウンセル)
- 日米の金融市場の規制当局には大きな考え方の違いがある。日本の考え方は間違っているわけではないが、市場アクセスが容易な国の後塵を拝することになるかもしれない。
〔テーマ座談会〕
新段階を迎えた研究開発
─ 各社研究所長座談会
笠見 昭信(東芝 取締役・研究開発センター所長)
加藤 弘(新日本製鐵 取締役・鉄鋼研究所長)
志賀 昭信(住友化学工業 理事・筑波研究所長)
池上 徹彦(日本電信電話 取締役・基礎技術総合研究所長)
浅井 彰二郎(日立製作所 基礎研究所長)
- 日本の産業の明日を創造する5人の研究所長が語る。
- 研究開発現場の今
- 産官学の役割
- 独創性を育てる人事システム
- 大学との協力
- 産業界に何ができるか
一般記事
阪神大震災の被災地から
─ 企業とボランティアはどう動いたか
田代 正美(1%クラブ事務局次長)
- 阪神大震災において生まれた企業とボランティア団体のパートナーシップ、成長が明らかになった企業人ボランティアの活動を紹介。ボランティアを組み込んだ救援体制づくりを訴える。
企業と地域社会
諸戸 孝明(伊藤忠商事社会関連管理部長)
- 国際的な商社と地域社会との結びつきなんて薄いのでは…。そんな常識を吹き飛ばす元気な話題。
自由貿易協定は自由貿易をもたらすか
長谷川 知子(コロンビア大学〔経団連職員〕)
- アメリカの経済学者たちの間で議論されている論点のポイント解説。 NAFTAなど地域経済圏構想は、果して自由貿易体制へのステップたりうるか。
シリーズ
- ●ずばり、きらり ─ 広報委員長です
濱中 昭一郎 経団連輸送委員長にきく
聞き手:関本 忠弘(経団連広報委員長)
震災の教訓を活かし、総合的な交通基盤整備を
- 阪神大震災で明らかになった問題と安全で効率的な交通基盤整備について語る。
- ●こんな規制はもういらない!
たばこの価格・販売に競争原理を
五十嵐 英明(経済評論家)
- 外国たばこの円高差益はどこに行ったのか。嗜好品のたばこの価格をなぜ、大蔵省の認可で決定しなければならないのか。
- ●ドラッカーが斬る現代
創造性の窒息
- 社会生態学者のP.F.ドラッカーが観察する日本の人材育成システム
- ●経営者のひととき(エッセイ)
-
孔子の教え
河村 喜典(三共社長)
右脳の作品
石橋 幹一郎(ブリヂストン相談役名誉会長)
- ●美への視線〔出光美術館〕
陶片の語る壮大な交流の歴史
金沢 陽(出光美術館学芸員)
- 東西交易の歴史の証である陶磁器のかけらたちが、1000年前のエジプトの活況を物語る。
- ●エッセイ「豊かの国で」
“お妊娠”、この究極の娯楽
望月 真理子(メディア・アナリスト)
- ●オピニオン寄稿
ユーザー本位の市場開放
─ 日米移動電話交渉をめぐって
入江 俊昭(日本モトローラ会長)
- 移動電話に関する議論を一刀両断。日米の電気通信交渉の目的と事実関係を述べる。
- ●名刺がわりに…/躍進する企業紹介
日立物流
- 経団連に最近加入した新進企業の概要および同社の目指すものを会長にきく。
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