月刊keidanren 1997年 5月号 巻頭言

首都機能移転に向かって新たな前進を

原点に立って着実な実行が重要

豊田会長

豊田章一郎
経団連会長


1990年の衆参両院による国会決議は、「東京一極集中を排除し、21世紀にふさわしい政治・行政機能を確立するために、国会等の移転をすすめる」とうたっています。

その決議を踏まえ3年間にわたって審議された国会等移転調査会の報告では、98年秋頃には移転先が選定され、2000年に建設開始、2010年までには新しい国会議事堂で第1回の国会が開かれることを提言しました。

さらに、昨年、国会等移転法が改正され、12月には、移転先の候補地を選定するための国会等移転審議会が発足しております。

われわれは、国会決議で示された原点に立ち、何年もかかってステップを踏んで決められた計画に沿って、首都機能の移転を着実に進めてゆくべきであります。国会が決めたことを実行できなければ、政治への信頼も失われてしまいます。実現に向けて政治の強いリーダーシップが期待されるところであります。首都機能の移転は、国土の均衡ある発展、一極集中の是正、都市防災など多くの意義がありますが、同時に行政改革、規制緩和、税・財政改革などの抜本的な構造改革を促進する起爆剤として、人心を一新し活力にあふれた「魅力ある日本」を創る上で重要な国家プロジェクトであると思います。

経団連でもいま一度首都機能移転の重要性を再認識し、その前進に向けた取組みを行なっていきたいと思います。

(とよだ しょういちろう)


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