経営タイムス No.2638 (2002年7月18日)

日本経団連、地方団体長会が初会合

−活動方針など承認


 日本経団連(奥田碩会長)は16日、地方別経営者団体の長で構成する地方団体長会の第1回会合を、東京・大手町の経団連会館で開催した。地域の産業振興や地方の労働問題などの諸課題に取り組むことによって、わが国産業の発展に資することを目的に設置された同会の初会合では、同会の要綱、運営要領などについて審議、(1)地域産業活動の活性化 (2)地域社会の人材育成・確保 (3)地域の労働問題の改善――などを活動方針として、地方経営者協会の組織整備を行い地方団体長会の運営基盤を強化することが決まった。また、審議後の意見交換では、出席した30の経営者協会の会長が、日本経団連が6月に発表した税制第3次提言や地方産業の活性化、地方経協の組織強化策などについてそれぞれ所見を述べた。


 会合の冒頭、浜田広議長(東京経営者協会会長)のほか奥井功副議長(関西経営者協会会長)、柴田昌治副議長(愛知県経営者協会会長)、奥田会長がそれぞれあいさつした。

 浜田議長は地方団体長会について、「それぞれの地域を代表するものとして英知を結集し、日本経団連の場において、国や社会あるいは子どもたちのために何をなすべきか明示し、推進していくべき」と述べ、出席した地方経協の会長に忌憚のない意見や提案を求めた。

 奥田会長は5月の新団体設立総会において、「地方の経営者協会と一体となった活動を展開し、政治、行政、労働組合、市民を含む幅広い関係者との対話を進める」と決議したことに触れ、こうした活動を推進するためにも地方団体長会が重要な機能・役割を担うことを指摘。相互に地域産業振興の具現化に向けたアイデアを出し合い、モデル事業を展開していくことが、同会の活性化や経営者協会間の結束につながると期待を寄せた。

 議件ではまず、前田又兵衞・企業人政治フォーラム会長代行が日本経団連の政治の取り組みと企業人政治フォーラム(別掲)について説明。企業人の政治参加の促進を目的にスタートした同フォーラムの機能強化と会員拡充を図り、政治との新たな関係を確立するために地方の協力が必要であることを強調し、各地の経協に協力を求めた。

 続いて、地方団体長会の要綱、運営要領について審議。「地域の産業振興および中小企業問題、さらに地方の労働問題などの諸課題に取り組むことにより、わが国産業の発展に資すること」を同会の設置目的に、また、今年の活動方針を、(1)わが国経済の発展のために (i)地域産業活動の活性化 (ii)地域社会の人材育成・確保 (iii)使用者団体として地域の労働問題の改善、を図る(2)地方経営者協会の組織整備(3)地域の活性化を推進する産学官連携の社会システム構築(4)地方団体長会の運営基盤強化――とすることを承認した。

地方産業活性化などで意見交換

 意見交換ではまず、6月に日本経団連が提言した「税制抜本改革に関する第3次提言」本紙6月13日号既報)をもとに、これからの税制のあり方について意見を聴取。各経協とも第3次提言に賛意を示した上で、「税の取り方にあわせ、使い方についても提言してほしい」(東京)、「地方、中小企業の声を積極的に取り上げてほしい」(埼玉)、「優先順位をつけて、インセンティブのある改革を着実に進めるべき」(島根)などの要望があった。

 また、消費税率の引き上げについては、「高齢化に伴う社会保障費の財源確保の観点から引き上げは避けられない。国民的理解を得る努力が必要」(北海道)、「消費を上げるためには、これからの消費の一番の担い手である若年層の失業を真剣に考えなければならない」(京都)など、多くの意見があがった。

 地方団体長会の活性化や地域産業活性化、組織強化については、「まず、各地の企業を元気づけることが第一」(石川)。そのためにも、第3次提言に盛り込まれた法人税率の引き下げなどの実現に向けた積極的な働きかけを求めた。

 今回出された要望や意見は、今後の日本経団連の政策や活動に反映される。

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 5月以降、新たに地方経営者協会の会長に就任したのは、大宮久氏(京都経協、宝ホールディングス社長)、中島康雄氏(和歌山経協、三菱電機冷熱システム製作所所長)、藤井賢三氏(三重経協、三重交通会長)、小針健治氏(福島経協、福島信用販売社長)の4氏。


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