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経営タイムス No.2674 (2003年5月8日)

企業倫理・行動指針、約80%の企業が策定

−日本経団連がアンケート調査結果発表


日本経団連(奥田碩会長)は4月22日、会員企業を対象に実施した「企業倫理・企業行動に関するアンケート」の担当者向けの集計結果(中間取りまとめ) <PDF> を発表した。同アンケート結果によると、約80%の企業が企業倫理・行動指針を策定済と回答したうえ、企業倫理ヘルプライン(相談窓口)を設置済または設置予定である企業も80%を超えるなど、企業倫理の確立に向けた取り組みが進んでいることを示す結果となった。その一方で、企業倫理の浸透・定着状況のチェックは、総務など他部署が兼務で行っている企業が最も多いが、専門部署、監査役や外部コンサルタントが行っている企業があるなど、温度差があることも明らかになった。

8割強で相談窓口を設置

まず、企業倫理・行動指針の策定状況については、約80%の企業(79.1%)が策定済であり、策定の予定がある企業(18.1%)を合わせると、ほとんどすべての企業(97.2%)が企業倫理・企業行動指針を策定していることになる。また、策定していない企業においても、経営理念や社内規定等で企業倫理の浸透を図っている。経営トップの社内外への徹底と訴えかけについては、年頭所感(65.7%)や幹部研修会(50.9%)のほか、機会があるごとに話している経営トップも50.9%と半数を超えるなど、さまざまな方法で徹底と訴えかけが行われている。

企業倫理・企業行動への全社的な取り組み体制では、企業倫理担当役員を任命している企業(53.0%)と任命予定の企業(17.0%)を合わせると7割にのぼった。同様に、企業倫理委員会を設置済または設置予定である企業も7割近く(67.7%)を占めたが、設置予定のない企業も28.4%あった。

企業倫理担当部署の設置は24.3%に留まったが、ほかの担当業務をもつ部署が担当している企業が56.3%あり、8割を超える企業が、何らかの形で担当部署を設置している。

企業倫理ヘルプライン(相談窓口)の設置については、8割以上の企業(82.2%)が設置済または設置予定と回答している。また、9割を超える企業(93.3%)が、企業倫理・企業行動を含む幅広い相談を受け付けている。

企業倫理に関する社員への教育・研修については、新入社員研修時(71.8%)や年次研修・管理職研修時(65.4%)が多いほか、役員研修や各部門での担当者研修、職階別・部門別研修の時など、多くの機会をとらえて行われている。また、ハンドブック等を作成し全従業員に配布している企業が6割を超えているほか、イントラネットへの掲載やグループ会社にも配布しているケースなどがみられた。

チェック体制に温度差

企業倫理の浸透・定着状況のチェック体制については、総務・法務・人事などの部署が兼務している企業が約半数の45.5%で最も多く、企業倫理・企業行動関連専門部署で行っている企業は19.2%、監査役とそのスタッフによる企業は17.6%であった。そのほか、企業倫理委員会やコンプライアンス委員会、自己チェック体制の整備などの回答があったが、外部コンサルタント等に依頼している企業(2.4%)もあるなど、チェック体制は企業ごとにかなり異なっているという結果となった。

◇ ◇ ◇

日本経団連は昨年の10月、企業行動憲章とその実行の手引きを改定するなどの具体策を盛り込んだ、「企業不祥事防止への取り組み強化について」と題する提言を発表。同アンケートはその取り組みの一環として、日本経団連の会員企業1260社を対象に、「経営トップ向け」と「担当者向け」に分けて、昨年12月から今年3月まで実施。613社(回収率48.7%)が回答した。今回は、経営トップ向けと担当者向けの集計結果が非常に近い傾向を示したため、詳しい内容をアンケートした担当者向けの集計結果を発表した。


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