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経営タイムス No.2696 (2003年10月16日)

日墨EPA早期終結など求め共同声明

−日本経団連、メキシコ国際企業連盟、日本メキシコ経済協議会開く


日本経団連とメキシコ国際企業連盟(COMCE)は15日、東京・千代田区の東京會舘で第26回日本メキシコ経済協議会を開催した。日本側からは、塙義一・日本メキシコ経済委員長を団長に、企業関係者、政府関係オブザーバーら約60名、メキシコ側からは、ゴンザレス・サダ・メキシコ日本経済委員長を団長に、カナレス経済大臣、デルベス外務大臣、ビジャロボス経済省通商交渉担当次官、ディエック経済省顧問をはじめ、官民の経済関係者約50名が参加。日本とメキシコ間の経済連携強化に向けて、両国の経済情勢や2国間貿易、日本の対メキシコ投資、メキシコの国際競争力強化の必要性、日墨経済連携協定(EPA)、メキシコのビジネス環境改善などについて意見交換を実施。日墨EPAの早期締結による両国のポテンシャルにふさわしい経済関係構築を要望する共同声明を採択して終了した。

経済連携強化へ意見交換

採択された共同声明は、(1)日本・メキシコ両国首脳間における日墨EPAの早期締結の重要性確認への支持 (2)メキシコへの日本の投資拡大努力 (3)国際競争力強化へのメキシコの一層の努力 (4)日本企業に対するメキシコのインセンティブ付与の必要性――について、両代表団で重要な結論を得たとしている。

  1. 日本・メキシコ両国首脳間における日墨EPA早期締結の重要性確認への支持については、小泉純一郎首相とメキシコのフォックス大統領の両国首脳間で、日墨EPAの早期締結の重要性が確認されることを支持し、日墨EPA締結が日本とメキシコの経済関係を強化するとともに、先月行われた世界貿易機関(WTO)カンクン閣僚会議が限られた成果しか得られなかったことから、その重要性と緊急性は一層高まっていると指摘。さらに、日墨EPAは2国間の貿易・投資を拡大する最も優れた手段であるとして強く支持するとしている。

    意見交換では、日墨EPA締結について両代表団とも早期に締結する必要があることで認識は一致、「(日墨EPA締結への)隔たりは縮まっている。残りは農作物だが、できる限り解決する準備がある」(メキシコ側)との発言があったほか、「30カ国以上と自由貿易協定(FTA)を締結しているメキシコと日本はFTAを締結することで、8億5000万人ものネットワークが活用できる」と述べ、メキシコとのFTA締結のメリットを強調した。

  2. メキシコへの日本の投資拡大努力については、日本はメキシコへの投資拡大にできるだけ努力することで、メキシコの国内市場だけでなく、メキシコがすでにFTAを締結している30カ国以上の外国市場も開拓していくことができると指摘している。さらにメキシコ側は、「いまのメキシコは経済や為替、金利、インフレが安定している」と述べ、投資先としてメキシコが魅力的な国であることをアピールした。

  3. 国際競争力強化へのメキシコの一層の努力については、中国に対する競争力の観点を念頭に置いた上で、他のラテン・アメリカ諸国やアジア諸国への競争力強化のためにメキシコは一層努力しなければならないとし、特にインフラ整備、エネルギー関連製品、サービスの開発、法律・制度の整備、治安問題の解決などに取り組む必要性について触れている。さらに、メキシコのビジネス環境の整備は、メキシコでの企業活動の活性化や直接投資の一層の拡大に不可欠であるとしている。

  4. 日本企業に対するメキシコのインセンティブ付与の必要性については日本企業、特に中小企業に対してメキシコはインセンティブを与える必要があるとし、その理由として、メキシコに参入する日本の中小企業が、すでにメキシコで活動している日本の大企業にとって裾野産業発展となることが期待できることを挙げている。

このような観点から、今回採択された共同声明は、日墨EPAを早期に締結することで両国のポテンシャルにふさわしい経済関係が構築されることを、両代表団が強く要望して結んでいる。


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