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経営タイムス No.2703 (2003年12月15日)

日本経団連など158団体、緊急集会開く

−「年金保険料引上げ反対協議会」設立/「抜本改革なき引上げ反対」を決議


日本経団連(奥田碩会長)は9日、日本商工会議所や経済同友会、関西経済連合会など全国158の団体とともに「年金保険料引上げ反対協議会」を設立、緊急集会を開催した。奥田会長や西室泰三副会長、山口信夫・日本商工会議所会頭、北城恪太郎・経済同友会代表幹事はじめ、各団体から約200名が参加したほか、自由民主党の大野功統・年金制度調査会会長や中川秀直・国会対策委員長、中山成彬・年金制度調査会副会長、自見庄三郎・税制調査会副会長らが来賓としてあいさつ。抜本改革の展望がないままでの厚生年金保険料率の引き上げ法定化に反対する決議を採択した。同協議会は今後、必要に応じて、関係方面へのさらなる要請活動などを行う予定。

冒頭、山口・日商会頭は、年金保険料率の引き上げが企業経営に悪影響を与えると指摘した上で、全国の業種別・地方別団体が保険料率引き上げに反対していることをアピールするとともに、要請活動の連携強化を図るべく、「年金保険料引上げ反対協議会」を設立したいと説明。日本経団連など経済4団体が先月発表した共同意見書11月20日号既報)に賛同した158団体を構成団体とする同協議会の設立を了承した。

共同意見書をまとめた経済4団体を代表してあいさつした奥田会長は、持続可能な社会保障制度のグランドデザインの構築が不可欠とした上で、「これからの社会保障負担は、経済・産業・消費などへの影響が最小限にとどまるように決めるべき」との考えを示した。

その後、同協議会の構成団体である電機・電子・情報通信産業経営者連盟、関西経済連合会、日本自動車工業会、日本鉄鋼連盟、日本チェーンストアー協会、三重県経営者協会が意見を表明。「さらなる人員調整が必要になる」「海外への拠点移転を考えざるを得ない」「地方や中小企業への打撃が大きい」など、保険料率の引き上げが企業経営に与える悪影響を懸念する声が相次いだ。

最後に、北城・経済同友会代表幹事が決議「抜本改革なき厚生年金保険料率の引上げに反対する」を説明、これを採択して閉会した。

◇ ◇ ◇

「抜本改革なき厚生年金保険料率の引上げに反対する(決議)」の概要

今回の公的年金改革には、公的年金制度への国民の信頼を回復し、持続可能性を高める視点が不可欠。そのため、厚生年金保険料の増加を極力抑制し、現役世代の過重な負担の回避や年金給付の段階的抑制により、世代間の給付と負担の格差を是正するとともに、世代内の公平の観点から基礎年金を税方式化する抜本改革を断行すべきである。

しかし、厚生労働省はこうした抜本改革を行わずに厚生年金保険料率の将来の引き上げを法定しようとしており、これは保険料を負担する現在および将来の勤労者、企業の活力を殺ぐことになる。

厚生年金は強制加入で、保険料が実質的に賃金課税に等しく、保険料率の引き上げは雇用コストを上昇させ企業収益を圧迫、国際競争力低下を招くとともに、新規雇用への悪影響が予想される。加えて、年金制度改革のみ先行して決めるべきではなく、将来の潜在的国民負担率を50%程度までにとどめるよう、税・財政・社会保障全体をパッケージとした改革案を国民に示し、結論を得るべきである。

この協議会の総意として決議した下記の点について、国民、関係各位の理解を求める。

  1. 年金給付抑制や基礎年金の税方式化などの抜本改革の展望のない保険料率引き上げの法定化に絶対反対する。

  2. 当面の改革として、基礎年金国庫負担割合を2分の1にする道筋を明確にするべきである。

  3. 税・財政・社会保障の一体的改革案を国民に示し、結論を得るべきである。


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