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経営タイムス No.2708 (2004年2月5日)

日本経団連、2004年第1次政策評価発表

−自発的政治寄付促す指針に


日本経団連(奥田碩会長)は1月28日、会員企業・団体が政治寄付を行う際の参考として「2004年第1次政策評価」を発表、会員企業・団体に送付するとともに、政策を評価した自由民主党と民主党に通知した。同日の発表記者会見で奥田会長は、「会員企業には、政策評価を機に政治との関わりに関心を強め、社会貢献として積極的に対応するよう期待している」と語った。日本経団連は今後、説明会を開催するなど、政策評価による政治寄付への一層の理解と協力を呼びかけるとともに、通常国会での各党の取り組みや実績を踏まえ、年央を目途に第2次評価を行うこととしている。

会見の冒頭、奥田会長は、経団連が1993年に中止した政治寄付の斡旋と、今回の政治寄付の取り組みの違いについて、(1)寄付の基準がオープン (2)原則として政治寄付に賛同する全政党が対象 (3)政策評価などを参考に企業が自主的に寄付を判断――の3点を指摘した。
その上で、今回の政策評価が初めての試みであったことから「大変難しい作業であり、完璧なものとは思っていない」との感想を述べるとともに、外部の意見や批判などを踏まえ、より良い評価システムにしていきたいと語った。

また、宮原賢次副会長・政治・企業委員長は、今回の政策評価をとりまとめるにあたって、30回以上の会合で議論を重ねてきたことを披露した上で、同評価のポイントを説明。その中で、(1)政策本位の政治の実現 (2)議会制民主主義の健全な発展 (3)政治資金の透明性向上――の観点から、企業の政治寄付は重要な意義があると強調した。
最後に宮原副会長は、「会員企業には、社会的責任の一端である重要な社会貢献として、この政策評価を参考に自発的な政治寄付を促していきたい」と結んだ。

◇ ◇ ◇

日本経団連は昨年1月に発表した新ビジョンのなかで、改革に取り組む政党を資金面で支援するために政党の政策評価を行い、会員企業の自発的な政治寄付を促すとの方針を打ち出した。
これを受けて同年5月には、政党の政策評価による政治寄付の基本的な考え方2003年5月15日号既報)、9月には政党を評価する基準となる「優先政策事項」と、企業の政治寄付の意義に関する考え方同年9月25日号既報)を発表。
さらに、12月には会員企業が政策評価を参考に、日本経団連の会費相当額を目安として自発的に政党に寄付することを確認した「企業の自発的な政治寄付に関する申し合わせ」を決定、政治寄付を企業の社会的責任の一端としての社会貢献であると位置付けた。
こうしたプロセスを経てとりまとめた「2004年第1次政策評価」のポイントは次のとおり。

2004年第1次政策評価のポイント

I.評価の目的

政策本位の政治の実現のため、各政党が政策に関し、外部評価を受けることは政治の活性化につながる。また、今回の評価は、各企業の自発的政治寄付の参考に供するものである。

II.第1次評価

1.評価対象となる政党

1月28日時点で、企業の政治寄付を受け入れる意思を明らかにしている自由民主党と民主党の2党とした。

2.評価期間

先の総選挙で各党が政権公約を発表後、2003年末までとした。

3.評価表の構成と示し方

「総評」「優先政策事項に照らした評価」「包括的事項の論評」の3部構成とした。

  1. 「総評」では、評価結果の要約を記述した。
  2. 「優先政策事項に照らした評価」は、日本経団連が重要と考える10項目の優先政策事項に照らした5段階評価であり、日本経団連が意見を明らかにしていない政策の評価は含まれない。
    「合致度」は、優先政策事項の方向と各党の政権公約との合致度から判断した評価である。
    「取組み」は、政策の実現に向けた各党の取り組み状況について、2004年度予算案や税制改正案などの公表資料や日本経団連との政策対話などに基づく評価である。
    「実績」は、通常国会前の時点ではほとんど判明していないので、第1次評価では、空欄とした。
  3. 「包括的事項の論評」では、各党の政策本位の政治への取組み、企業の政治寄付への考え方、政治資金の透明性向上に向けた取り組みなどについて、日本経団連の考えに照らして論評した。

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