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経営タイムス No.2725 (2004年6月10日)

日本経団連、関西会員懇談会を開催

−関西経済の活性化策探る/構造改革特区などで意見交換


日本経団連(奥田碩会長)は2日、大阪市内のホテルで関西会員懇談会を開催した。「企業のダイナミズムを引き出し新たな未来を切り拓く」を基本テーマとした今回の懇談会には、奥田会長や西室泰三副会長、御手洗冨士夫副会長、三木繁光副会長、宮原賢次副会長、出井伸之副会長、米倉弘昌副会長、高原慶一朗評議員会副議長はじめ、関西地区会員ら約200名が参加。日本経団連の活動報告のほか、関西の景気や関西経済の活性化、構造改革特区、コンテンツビジネスなどについて意見を交換した。

冒頭あいさつで奥田会長は、「さまざまなタブーを打破しない限り、日本を変えるための真の改革は断行できない」と述べ、改革の断行を政府に強く訴えていくと語った。
また、明るさの見えてきた日本経済の回復をより確実にするための最重要課題として「技術革新の推進」を挙げ、そのために日本経団連は「Made“by”Japan」戦略を打ち出し、R&D投資減税の実現や産学官連携の強化、知的財産政策の推進、自由貿易協定のネットワーク化などで、一定の成果を上げていることを紹介。
さらに、経済の安定成長の実現には地域の役割がより重要になると指摘、観光振興や福祉サービスの多様化、インフラ・住環境の整備などで地域の特色を打ち出し、新たな豊かさを提示していく必要性に言及した。
最後に奥田会長は、企業倫理の確立について触れ、企業不祥事は経済界全体に対する信頼を損ねかねない大問題であると警鐘を鳴らし、経営者がリーダーシップを発揮して、企業倫理の確立に努めるよう呼びかけた。

■ 活動報告

続いて、5月の定時総会で選任された米倉副会長が新任あいさつをした後、西室副会長、御手洗副会長、宮原副会長、出井副会長が、日本経団連の活動を報告した。

このうち、西室副会長は年金法案について、社会保障制度全般の一体的見直しの検討が担保されるなど日本経団連の意見が反映されたとした上で、「将来不安につながる問題である社会保障制度全般の見直しをしっかりやっていきたい」と語った。

独占禁止法の改正問題について御手洗副会長は、課徴金制度の見直しや官製談合の防止策などの諸課題を視野に入れた改正に向け、積極的な対案を示したいとの意向を述べた。

政党の政策評価について宮原副会長は、今国会での各党の政権公約に対する取り組みなどを検証し、9月に第2次の政策評価を、10月に政策評価の尺度となる優先政策事項を公表したいと語った。

出井副会長は規制改革に関する日本経団連の取り組みとして、(1)個別の規制改革要望の実現 (2)2004年度の規制改革・民間開放要望のとりまとめ (3)中・長期的な視点での行政改革――を挙げた上で、「規制改革は着実に進んでいる。それにより、日本の競争力を高めることが必要だ」と述べた。

■ 意見交換

意見交換では、 関西地区会員の島野喜三・シマノ会長、大橋太朗・阪急電鉄会長、辻本憲三・カプコン社長、水越浩士・神戸製鋼所会長が発言。

関西の景気については、「上向いているが、本格的な景気回復に向かうかは正念場」とした上で、医療やIT、ベンチャー、観光振興などへの官民一体の取り組みが不可欠と述べた。

日本のコンテンツ産業については、ゲーム産業以外輸入超過であり、また、デジタルコピーは劣化しない上、ネット上でも可能であるなど、問題点を指摘。コンテンツ産業成長への協力を日本経団連に求めた。

構造改革特区については、さらに踏み込んだ規制緩和や撤廃が必要なケースがあることから、引き続き政府に提案してほしいと要望した。

これらを受け高原評議員会副議長は、関西地区の特徴として (1)産学官連携による新産業創出 (2)構造改革特区の活用 (3)創業者・起業家精神の涵養――を挙げた上で、新産業・新事業創出に取り組む企業への支援を今後も行っていきたいと述べた。

また、コンテンツ産業の振興について三木副会長は、コンテンツ振興法が成立(詳細別掲)したことを踏まえ、「今後の課題は知財推進計画の具体化であり、それが日本経団連の役割と自覚している」と語った。

最後に総括した奥田会長は、コンテンツビジネスや観光振興、新しい国家像など、新しい問題に積極的に取り組んでいきたいと述べるとともに、21世紀の新しい日本を成長させていくためには、新しい発想が必要であると語った。


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