日本経団連タイムス No.2740 (2004年9月30日)

日本経団連、2004年第2次政策評価発表

−第1次の「取り組み」見直し、「実績」を評価


日本経団連(奥田碩会長)は22日、会員企業・団体が政治寄付を行う際の参考として、「2004年第2次政策評価」を発表、会員企業・団体に送付するとともに、政策を評価した自由民主党と民主党に説明した。第2次政策評価は、通常国会などでの自民党と民主党の行動を踏まえ、今年1月に発表した第1次政策評価を見直したもの。同日の発表記者会見で宮原賢次副会長(政治・企業委員長)は、政策評価を参考に自発的な政治寄付を行うよう会員企業に呼びかけるとともに、政党に対しては、(1)民間寄付を政策立案・推進能力の強化に充当すること (2)政治資金の効率化と透明性の向上に努め、民間寄付の使途を公表すること――をあらためて要望した。

宮原副会長、自発的な政治寄付呼びかけ

記者会見で宮原副会長はまず、今回の第2次政策評価の課題として、(1)第1次政策評価で空欄にした「実績」を評価すること (2)各党の第1次政策評価の「取り組み」を見直すこと――の2点を挙げた。その上で、「実績」の評価にあたっては、該当する政策の立案から実現までの過程で政党が主体的に関与した場合を評価対象にしたと説明。政権与党である自民党はすべての項目で実績を評価した一方、民主党は評価対象の定義に該当しないため、実績を「−(横棒)」にしたと述べた。

さらに宮原副会長は、自民党の社会保障改革の実績評価が「D」であることについて、「社会保障制度全体の一体的改革を控え、ぜひとも進めてもらわなければならないという強い期待を込めた」と説明した。また、自民党の教育改革の推進についての評価が、「取り組み」「実績」ともに「C」であることについては、自民党の行っている教育改革が骨太ではなく、公設民営化にも未着手であるなど、日本経団連の方向と食い違っていると指摘した。

記者から、自民党と民主党の総合評価を相対的に比べた場合のコメントを求められた宮原副会長は、10項目の優先政策事項のウエート・重視する度合いは各企業で異なることから、日本経団連の政策評価を参考に各企業がそれぞれの立場で考えるべきとの考えを示した。

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日本経団連は、政策本位の政治の実現や議会制民主主義の健全な発展、政治資金の透明性向上の観点から、企業・団体による政党の政治資金団体への寄付を企業の社会的責任の一端としての社会貢献と位置づけ、促進している。

この一環として昨年9月、政党を評価する基準となる「優先政策事項」2003年9月25日号既報)を発表。さらに同年12月、会員企業が政党の政策評価を参考に、自発的に政治寄付をすることを申し合わせた。それを受けて今年1月には、会員企業・団体が政治寄付を行う際の参考として「2004年第1次政策評価」(2004年2月5日号既報)を発表した。

2004年第2次政策評価のポイント

こうしたプロセスを経てとりまとめた「2004年第2次政策評価」のポイントは次のとおり。

1.評価対象政党

現時点で企業の政治寄付を受け入れる意思を明らかにしている自由民主党と民主党の2党とした。

2.評価期間

2003年総選挙に向けて、各党が政権公約を発表してから、現時点までとした。

3.評価表の構成と示し方

「総評」「優先政策事項に照らした評価」「包括的事項の論評」の3部構成とした。

  1. 「総評」では、評価結果の要約を記述した。

  2. 「優先政策事項に照らした評価」は、「合致度」「取り組み」「実績」の観点から、それぞれ5段階に評価した。

    1. 「合致度」は、優先政策事項と各党が2003年総選挙に向け発表した政権公約との対比で評価した。

    2. 「取り組み」は、通常国会の動向や日本経団連との政策対話などから、政策立案から実現までの過程における政党の動きについて、優先政策事項に照らし、評価した。国会における投票行動は、政策実現の一環との見地から「取り組み」に含め評価した。今回の再評価によって第1次評価から評点が変わったものについては、第1次評価の評点を参考までに( )で示した。

    3. 「実績」は、実現した政策による優先政策事項の達成度を評価した。評価にあたっては、当該政策の立案から実現に至る過程で、政党が主体的に関与した場合を対象とし、それに該当しない場合は、「−(横棒)」と記した。

  3. 「包括的事項の論評」は、政策本位の政治への取り組み、企業の政治寄付への考え方、政治資金の透明性向上に向けた取り組みなどについて、日本経団連の考えに照らし、記述した。

4.民間寄付の使途と政治資金の効率化・透明性向上

政党に対しては、あらためて (1)民間寄付を政策立案・推進能力の強化に充当すること (2)政治資金の効率化と透明性の向上に努め民間寄付の使途を公表することを強く要望する。

【社会本部政治担当】
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