日本経団連タイムス No.2743 (2004年10月21日)

産業問題委エンターテインメント・コンテンツ部会が会合

−経済産業省、コンテンツ政策関連予算、概算要求など説明


日本経団連の産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)は6日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。同部会では、経済産業省の広実郁郎・文化情報関連産業課長から、同省が来年度に展開するコンテンツ政策に関連する予算の概算要求やそのねらいについて聴取した後、意見を交換した。

説明において広実課長は、今回の予算要求項目の柱に、(1)海外市場・ブロードバンド市場といった新しいフロンティア市場立ち上げや映像市場のデジタル化等を通じた「コンテンツ産業の構造改革の推進」 (2)生産部門を活性化し、優秀な人材を惹きつける「人材育成総合プログラム事業」――を掲げていると語った。

このうち、「コンテンツ産業の構造改革」については、平成17年度に13.7億円(16年度8.5億円)を要求し、具体的には国際展開の促進のための「コンテンツ国際取引市場強化事業」「海外コンテンツ見本市出展支援」「アジア地域における海賊版対策支援」を、ブロードバンド市場の確立に向けては「ネットにおけるコンテンツ配信ルールの策定」「2次利用時のルールの整備支援」「不正利用対策に関する環境整備支援事業の拡充」を推進していくと述べた。

また、「人材育成総合プログラム事業」については、平成17年度に1.5億円(16年度1.3億円)を要求し、カリキュラム等の仲介やインターンシップのアレンジ、指導者の養成、講師の派遣、プロデューサーとクリエイターのマッチングなどを展開したいと語った。あわせて、今年度すでに実施している「映像プロデューサー育成のための実証研修事業」への応募を呼びかけた。

さらに、広実課長は、資金調達手法の多様化に向けて、(1)信託業法の改正や商品ファンド法上の許可要件の緩和 (2)政策金融による補完等の実施 (3)流通事業者と制作事業者間における公正な取り引き環境の確立に向けてのモデル契約の普及や新規策定――などに取り組んでいくと説明した。

続いて行われた意見交換では、部会メンバーが、「知的財産の『創造』『保護』『活用』の3段階のうち、『活用』の部分にもっと力点をおくべきではないか」と指摘。これに対して広実課長は、「今まで政府や大学では十分なリソースをコンテンツの分野に割いてくることができなかった」と述べた上で、日本経団連の提言に基づく映像産業振興機構(9月9日号既報の「映像産業振興機関」と同じ)構想に言及し、「同構想は縦割りではなく横断的。また、従来の延長線上の改革ではなく発想の転換による提案」と高く評価するとともに、「構造改革を推進する参謀本部としての機能を期待している」と語った。

会合ではその後、10月23日に開幕する東京国際映画祭の準備状況について、同映画祭の角川歴彦・ゼネラルプロデューサーや境真良事務局長らが説明を行い、幅広い参加を呼びかけた。

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産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会は、政府の「知財推進計画2004」に盛り込まれた事項の具体化に向け、さまざまな意見交換を行っている(9月9日号既報)。なかでも、04年度中に設立されることとなっている「映像産業振興機構」(大学等の教育機関へのサポートなど、大学等との連携・協力を図りつつ、映像産業全体の振興に向け制作助成等の諸事業を推進する民間機構)構想の具体化に向け議論を重ねており、同機構の機能や組織、関係機関との協力のあり方を検討し、政府・知財推進本部に働きかけている。

【産業本部産業基盤担当】
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