日本経団連タイムス No.2753 (2005年1月27日)

マーティン・カナダ首相と懇談

−「日・カナダ経済枠組み」など


日本経団連は19日、東京・大手町の経団連会館で、カナダのポール・マーティン首相との昼食懇談会を開催した。懇談会には、カナダ側から、マーティン首相はじめ、エマーソン産業大臣、オースティン上院議員、ライト駐日大使らが、日本経団連からはカナダ委員長を務める吉野浩行副会長、財前宏・日加経済連携タスクフォース座長ら、あわせて約170名が出席した。

冒頭にあいさつした吉野副会長は、日本とカナダの経済関係について、その経済規模からみて発展の余地がいまだ大きく残されており、両国間の貿易投資関係を一層拡大すべきこと、また、両国が協力して地球環境問題などのグローバル・イシューを解決していくことが重要であると述べた。
さらに、両国経済連携の一層の強化策について、カナダ委員会がとりまとめた中間報告「日加経済連携強化に向けて」<PDF>2004年9月16日号既報)の内容にも触れ、将来的なFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)も視野に入れ、両国間で何らかの「枠組み合意」を結ぶことや、「日加租税条約」の改正、「社会保障協定」の早期締結などを通じて、両国への投資阻害要因を取り除く必要性を強調した。

続いて講演したマーティン首相は、カナダにとって第2位の貿易相手国である日本を非常に重視していることや、東アジアが経済的に統合する上で日本の主導が不可欠であることなどを語った。また、両国が今後一層協力を進めていく分野として、カナダの潤沢な天然資源を利用した産業や、ハイテク産業、金融分野が有望であると述べた。
さらにマーティン首相は、日本の対加直接投資額が、カナダの対日直接投資額よりも少ないことを指摘した上で、カナダが天然資源を利用した産業や、ハイテク産業、金融分野などの新分野において、投資先として非常に魅力的であることや、港湾などのインフラ整備を現在、進めていることを挙げ、日本企業の対加投資をこれまで以上に積極的に誘致していくとの意欲を示した。
また、昼食懇談会後に予定している小泉純一郎首相との首脳会談において、両国経済界に向けた力強いメッセージを送りたいと述べ、経済連携強化を後押しするために両国の「経済枠組み」を形成すべきであることや、同枠組みにおいては民間経済界の意見を積極的に取り入れていくべきであることを、小泉首相に提言したいと語った。

【国際経済本部北米担当】
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