日本経団連タイムス No.2788 (2005年10月20日)

「実効ある容器包装リサイクル制度の構築に向けて」を発表

−役割・費用分担見直しに反対


日本経団連は18日、今秋に最終取りまとめが行われる容器包装リサイクル法(以下、容リ法)の見直し論議に経済界の意見を反映させるべく、「実効ある容器包装リサイクル制度の構築に向けて」をまとめ、発表した。
これは、中央環境審議会と産業構造審議会が7月に公表した「容リ法の見直しに係る中間とりまとめ」において、産業界の強い反対にもかかわらず、「地方自治体が担ってきた分別収集の役割・費用の一部を事業者に負わせるべき」との考え方が示されたことを受け、役割分担の見直しでは、容器包装の排出抑制や制度全体の効率化は進展せず、単なる費用の付け回しであるとして、強く反対を唱えたものである。

現行容リ法は、「消費者の分別排出、地方自治体の分別収集、事業者の再商品化」という役割分担で再商品化を推進するものだが、現状、消費者の分別排出や地方自治体の分別収集体制は必ずしも十分に進んでおらず、事業者においても、「ただ乗り事業者」が存在し排出抑制の取り組みに事業者間でバラツキがあるなど、法が規定した役割分担を各主体が十分に果たせていない。また、容リ法の施行により、一般廃棄物最終処分場の残余年数が拡大する等の成果を上げているものの、消費者の容器包装廃棄物の排出抑制は必ずしも進んでいない。さらに、地方自治体からは、分別収集費用の負担軽減要望が出されていると同時に、事業者も年間約400億円の再商品化費用の負担や、容器軽量化の技術開発等に多額の費用をかけているといったように、社会的な総費用の増大が問題となっている。
こうした状況を踏まえ、同提言では、見直しの視点として、(1)役割分担を堅持し、全ての主体の取り組みの徹底・深化を図るべき (2)抑制効果の大きい施策を講じるべき (3)制度全体に係る社会的総コストの低減を図るべき――ことを掲げ、これらに資する施策の実施を通じて、全員参加型の容器包装リサイクル制度を実現すべきと訴えている。

業界ごとに「自主行動計画」を策定

具体的な提案としては、まず事業者は、容器包装の排出抑制の取り組みをさらに推進するとともに幅広い事業者に普及させるため、業界ごとに「自主行動計画」を策定することを表明している。同計画には、消費者に分別排出の徹底を求める情報提供の強化や広報活動なども盛り込むこととした。
また、地方自治体に対し、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装廃棄物のうち、汚れが付着しリサイクルしにくいものは一般家庭ごみとして集め、エネルギーリカバリーを図るべきことを主張しているほか、消費者の排出抑制とリサイクルの品質向上を促す観点からの容器包装廃棄物の有料化や、地方自治体の分別収集・消費者の分別排出の徹底を要望している。

【環境・技術本部環境・エネルギー担当】
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