日本経団連タイムス No.2793 (2005年12月1日)

香港閣僚会議に向け共同宣言発表

−日本経団連など世界の21経済団体


日本経団連をはじめとする世界の21の経済団体は11月21日、WTO新ラウンド交渉・香港閣僚会議における自由化の進展を求める共同宣言を発表し、各団体の連名で、ラミーWTO事務局長はじめ各国WTO交渉責任者にその実現を働きかけた。
今回の共同宣言は、欧州産業連盟が中心となってまとめたもので、日本経団連および同連盟のほか、米国や欧州、カナダ、豪州、台湾、香港、中南米、アフリカの経済団体が参加した。

日本経団連では、これまでもWTO新ラウンド交渉推進に向け、諸外国の経済団体との間で、共同意見書の発表やジュネーブへの共同ミッションの派遣、閣僚会議における共同行動などを行ってきた。9月6日には、米国ビジネス・ラウンドテーブルほか、欧州、カナダ、豪州、メキシコの経済6団体で共同声明を発表しているが、これらは今回の共同宣言の賛同団体には含まれない。

共同宣言では、2006年中の新ラウンド交渉終結のために香港閣僚会議が重要な一里塚であると位置付け、農業や非農産品(鉱工業など)、サービス、貿易円滑化、ルールなどすべての交渉分野で大枠への合意を実現すべく、すべての当事国の譲歩を求めている。2001年から開始された新ラウンド交渉は、すでに大幅に遅れているものの、各国の政治的決断により、2006年末の交渉終結時に、先進国のみならず途上国も含めたすべての国が目に見える経済的な恩恵を受ける形で合意することは可能であると強調している。
また、農業では、(1)関税引き下げ (2)国内補助金の削減 (3)輸出補助金の撤廃――の3つの柱についてバランスのとれた質の高い合意が必要であるとしている。鉱工業では、フォーミュラによる包括的な関税の撤廃や大幅な削減、分野別の関税・非関税障壁の撤廃・削減の取り組みを求めている。サービスでは、現行の国内規制より踏み込んだ自由化を求めている。あわせて、通関手続きの簡素化などを盛り込んだ貿易円滑化協定の制定やアンチ・ダンピング協定の規律強化の必要性に言及している。

日本経団連では、12月の香港閣僚会議に代表団を派遣し、交渉の実質的な進展に向けて、世界各国の経済界と共同で働きかけを行うこととしている。

【国際経済本部】
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