日本経団連タイムス No.2804 (2006年3月9日)

奥田会長、ベトナム要人と懇談

−ハノイ、ホーチミンで日本企業代表らとも


日本経団連の奥田碩会長は、2月27日から3月3日の日程で、ベトナムのハノイとホーチミンを訪問し、ノン・ドゥック・マイン共産党書記長、チャン・ドゥック・ルオン国家主席、ファン・ヴァン・カイ首相などの要人をはじめ、ハノイとホーチミンで活躍している日本企業の代表らと懇談した。また、トヨタ・ベトナムや、日本企業が整備したタンロン工業団地内のキヤノン・ベトナム、日本のODAや国際協力銀行の融資を活用して日本企業によって建設されたフーミー火力発電所を視察した(概要前号既報)。

マイン共産党書記長「日本の支援期待」/カイ首相「投資環境改善に努力」

今回の訪問には、柴田昌治副会長、大橋光夫アジア・大洋州地域委員会共同委員長、岡素之日本ベトナム経済委員長らが同行した。今回の訪越中に会見したベトナムの要人は、ODA案件を通じた日本の支援と協力や、民間企業の投資が、これまでのベトナムの発展に大きく貢献したことに対する深い謝意と、両国の経済関係が一層強化されることへの強い期待を表明。また、20年来実施しているドイモイ(刷新)をこれからも基本政策として継続することを強調した。

マイン共産党書記長は面談の中で、「ベトナムの1人当たりのGDPは現在約640ドルだが、2010年にはこれを1000ドルにまで引き上げたい」と発言。「そのためには外資の導入が不可欠であり、国際社会、特に日本の支援に期待している」と述べた。ルオン国家主席は「ベトナムは政治的な安定を達成した。日本企業に安心して進出してほしい」と要請。国内外の投資家の意見を良く聞き、経済発展の過程で発生する諸問題を解決することを約束した。

またカイ首相は、「両国の関係は良好であり活発な交流が行われており喜ばしい。日越共同イニシアティブを歓迎する。労使関係を含め投資環境の一層の改善に向けて努力する」と述べた上で、現在、南部の日本企業で労働争議が発生していることに言及、「ベトナム政府はこの問題を円滑に解決するよう努力する。ベトナムの投資環境に悪い影響が及ばないようにしたい」との考えを示した。

ヴォー・ホン・フック計画投資大臣は、日越両国がベトナムのWTO加盟に合意し、経済連携協定(EPA)交渉のための事前協議を開始したことに触れ、「06年4月には新投資法と企業法が発効する。その意味で、今回の奥田会長の訪問は非常に時宜を得たものであり、熱烈に歓迎する。ベトナムはWTOへの早期加盟をめざしており、06年中には実現できると考えている。日越間のEPA交渉に期待している」と語った。またレー・タイン・ハイ・ホーチミン市人民委員長(市長)は、「ホーチミン市では都市計画、地下鉄建設などインフラ関連のプロジェクトが目白押しである」と述べ、ハイテク分野での日本からの投資への期待を表明した。

奥田会長「発展の可能性実感」

奥田会長は、今回のベトナム訪問を振り返り、「ベトナム経済は目覚ましい成長を遂げており、今後のさらなる発展の可能性を実感した。97年のアジア通貨危機の際、東南アジアでは撤退する日本企業が多かったが、ベトナム現地の日本企業の代表は、『ベトナムではどの会社も脱落することなく仕事を続けた』と言っていた。日本企業の皆さんの粘り強さに感激した。こうした日本企業の努力に加え、ベトナム政府も投資環境を着実に改善させており、日本からベトナムへの投資はますます増えていくだろうとの印象を強く抱いた」と語った。

日本ベトナム経済委員会では、今回の訪問の成果を踏まえ、06年後半から07年初めにかけて日本ベトナム合同経済会議を開催し、ベトナムの投資環境の一層の整備と日本・ベトナム経済関係の拡大に向けて、最大限フォローしていく考えだ。

【国際協力本部アジア担当】
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