日本経団連(奥田碩会長)は18日、「歳出入一体改革に関する中間とりまとめ〜スリムで強靭な政府の構築を求める〜」を公表し、政府・与党関係方面に建議した。
現在、政府、与党において、歳出入一体改革に関する議論が行われており、この6月には、経済財政諮問会議が改革の選択肢と工程表を公表する予定である。こうした検討に経済界の考え方を反映させるため、日本経団連では税制委員会を中心に、財政制度委員会、社会保障委員会等と連携をとりつつ検討を進め、このたび、中間とりまとめとして改革に向けた課題と基本的考え方を明らかにした。
なお、マクロ経済フレームや具体的な歳出の削減額、必要となる増収額などについては、6月以降、さらに検討を深めていく予定である。
国、地方の長期債務残高が対GDP比で150%を超えるなど、わが国財政は先進国中最悪の状況であり、歳出入一体改革が喫緊の課題である。今回の中間とりまとめでは、まず、改革を進めるに当たり、グローバルな競争の進展や本格的な人口減少社会といった内外の環境を踏まえ、今後わが国がめざすべき経済社会の姿と、それを実現するための政府の姿や役割を提示した。
めざすべき姿は、『高付加価値を生み出す製造業と高品質のサービス業とが、相互に連携し、生産性を高めあう、活力ある経済社会』である。そうした経済社会を実現するために、行政、財政、社会保障、税制を通じた歳出入一体改革の推進によって「スリムで強靭な政府」を構築すべきとしている。たゆまぬ研究開発、技術革新による活力ある市場の創出、潜在成長力強化、自助努力で対処できない事態に対応できる安心の枠組みの確保に向けて政府がこれまで以上に役割を発揮することを求めている。
このような考え方に立って、中間とりまとめでは、可能な限り早期にプライマリー・バランスを回復し、その後は、政府債務残高そのものの縮小をめざすべきであり、まず、行政改革や歳出の徹底した見直しを前提に、税制の抜本改革についても速やかに検討を進めるべきであると指摘している。
各分野における改革すべき主要事項は次のとおり。