日本経団連タイムス No.2903 (2008年4月24日)

李明博・韓国大統領招き歓迎昼食会

−李大統領、経済協力の質的強化強調/日本企業の投資に期待感


日本経団連、日本商工会議所(岡村正会頭)、日韓経済協会(飯島英胤会長)は21日、都内のホテルで大韓民国の李明博大統領の歓迎昼食会を開いた。

御手洗冨士夫日本経団連会長はあいさつの冒頭、李大統領の就任への祝辞を述べた上で、李大統領が進める、規制緩和の推進、労使関係の改善により投資環境を整備して外国からの投資を呼び込むという経済政策によって韓国経済はさらに発展するだろうと指摘。投資機会の拡大をはじめ、日韓経済関係の強化にもつながるとの認識を示した。

また、2004年を最後に中断されている日韓の経済連携協定(EPA)交渉について、東アジア地域のさらなる経済連携推進のためにも、早急に課題を精査し、協定締結をめざすべきと述べ、交渉再開に向けた李大統領のリーダーシップ発揮を要望した。

さらに、日韓両国が、アジアやグローバルに共通した課題について連携・協力を深めていくことが重要であるとして、例えば地球温暖化問題において両国がイニシアチブを発揮することの重要性を指摘。経済界としても積極的に協力していきたいとの意向を表明した。

これに対し、李大統領は、韓国初の経済界出身の大統領として、「企業は経済の中心、国富の源、雇用創出の主役」との考えの下、規制緩和や法人税の引き下げ、外国人投資誘致策などの「ビジネス・フレンドリー政策」を打ち出し、既に成果を挙げていると説明。併せて、労使関係における前向きな変化により外国人直接投資が急増していることを紹介、日本企業の投資に期待を示した。

また、日韓両国の協力関係について、これからの経済協力は、量的な拡大から質的な強化に向けて飛躍することが必要と指摘。こうした経済協力をもとに人的交流、文化交流、歴史理解等をさらに拡大すべきとの考えを示し、そのことが日韓FTAの土台となるだろうと述べた。

さらに、今こそ日本企業と、自動車、半導体、鉄鋼、ITといった韓国のリーディング企業とが協力し、多くの成功モデルをつくっていくべき時期であるとの認識を示した上で、新たな時代におけるWin‐Winの関係を構築するためには、一段高いレベルの協力が必要と指摘。そのために日韓の企業間協力を積極的に支援する準備があると強調した。

その上で、変化の時代に過去に縛られていては前に進むことはできないと指摘。チャーチルの言葉「過去と現在が争えば犠牲になるのは未来だ」を引用し、協力と信頼に基づいて過去を直視し、未来指向の日韓関係を構築していく必要があるとし、アジアの発展と平和、ひいては世界の繁栄に向けたパートナーとして進んでいくべきとあいさつした。

昼食会に先立ち、日本経団連は韓国の総合経済団体である全国経済人連合会(全経連、趙錫来会長)と共に日韓ビジネスサミット・ラウンドテーブル(BSR)を開催し、貿易・投資環境の整備や環境政策での協力、経済連携の推進などについて意見交換を行った。会合後、御手洗会長、趙会長はじめ参加者は首相官邸を訪問、福田総理大臣と李大統領に同会合で取りまとめた「未来指向の日韓関係に向けて」について報告した。

【国際第二本部アジア担当】
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