日本経団連タイムス No.2913 (2008年7月17日)

「第3回IGFへの提言」発表

−「インターネットの諸課題とその将来」/産業界の主張取りまとめ


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は15日、「第3回IGF(インターネット・ガバナンス・フォーラム)への提言‐インターネットの諸課題とその将来」を発表した。同提言は、12月上旬にインドで開催される、国連主催の第3回IGFに向けて、日本の産業界の考え方を取りまとめたものである。

第一部では、インターネット・ガバナンスの重要性と、IGFの設置に至った経緯を述べている。インターネットは情報社会におけるインフラとして、今や経済活動・社会活動に不可欠なものとなっている一方、サイバー犯罪やデジタル・デバイドが深刻化し、インターネットの安心・安全な利活用をいかに支えるかが重要な課題となっている。IGFは、2003年、05年に開催された国連の世界情報社会サミットにおいて、政府、産業界、市民社会を含むマルチステークホルダーによる議論を継続する場として、設置が決定された。

第二部では、IGFの過去2回の成果を振り返るとともに、今後の展開への期待を述べている。まず、IGFの成果として、マルチステークホルダーが、インターネットをめぐる課題について対等の立場で自由に議論する場として有効に機能したこと、そして民間主導のインターネット管理体制の維持に貢献したことを挙げている。また、IGFを通じて多くのベストプラクティスが共有され、参加者間の自発的な連携が生まれたことも大きな成果だが、今後は、これらのベストプラクティスや参加者間の連携が、IGFに参加していない国や企業の間でも共有されるような仕組みを構築するとともに、他の国際組織との連携を図り、具体的なアクションに発展させることが期待される。

第三部では、IGFで議論される4つのテーマについて、IGFへの提案を行っている。第一に「次の10億人への到達」では、途上国におけるアクセス改善に向けて、マーケット原理の導入が重要であるとともに、アクセス端末として、PC以外の携帯電話等の利用も前提とした支援も検討することを提案している。第二に「サイバーセキュリティとトラストの推進」では、サイバー犯罪への対策強化を継続するとともに、知財権の侵害やスパムメールの発信等、不正行為や犯罪について世界共通の倫理規範づくりに向けた議論を行うことを提案している。第三に「インターネット重要資源の管理」では、現行の民間主導のインターネット管理体制の維持を主張するとともに、先進国はIPアドレスの枯渇問題に率先して対応するべきであると述べている。第四に「エマージング・イシュー」では、ICTを活用した環境対策と、行政の電子化による業務効率化・コスト削減の実現を提案している。

第四部では、インターネットをめぐる諸問題について継続的な議論の必要性を改めて強調し、締めくくっている。

また、別紙として、第1回IGF、第2回IGFの概要と日本経団連の活動をまとめた資料を添付している。

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IGFは、マルチステークホルダーが自由に議論する国際的なフォーラムであるが故に、共同宣言のような文書の採択を行っていないが、IGF事務局で参加者の主要な意見を事前に募り、「統合ペーパー」を公表している。昨年は「統合ペーパー」に日本経団連の提言が数多く引用され、プレゼンスが大幅に向上した。今年も、日本経団連の意見を「統合ペーパー」に反映するため、提言を英訳し、IGF事務局へ提出するとともに、IGFへミッションを派遣し、日本の産業界の主張等を会合の場でも発信する予定である。

【産業第二本部情報通信担当】
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