日本経団連タイムス No.2917 (2008年8月14日)

東富士夏季フォーラム 第3テーマ

「イノベーションによる成長力強化」

日本経団連副会長、産業技術委員長  榊原定征氏


課題提起

グローバル化や知の高度化により、企業、大学、政府等によるイノベーション創出プロセスを全体性を持ったシステムとしてとらえるナショナル・イノベーション・システムの重要性が増している。

また、一企業や大学による閉じたイノベーションには限界が生じており、企業や大学、政府等がそれぞれの強みを活かして連携するオープン・イノベーションがカギを握る時代になった。

欧米・アジアの主要国は、成長力強化に向け国を挙げて熾烈なイノベーション創出競争を展開している。わが国も「第3期科学技術基本計画」「イノベーション25」などに基づき多様な施策を展開しているが、産業界から見て、成長力強化に十分つながっていない。インプット面では、政府研究開発投資の5年間の総額目標25兆円の達成が不可欠であることは無論、アウトプット面でも、実用化につながる基礎研究の質の一層の向上などが求められる。

わが国では、欧米先進国へのキャッチアップの時代が終焉し、トップランナー型発展への転換がたびたび唱えられてきた。今こそ、日本の強みや弱み、文化・価値観などを改めて問い直し、日本型イノベーションシステムを再構築する必要がある。

そのためには、まず、企業活動がグローバル化する中、国・地域の競争力の源泉を見つめ直し、日本ならではのイノベーションの姿を考える必要がある。その上で、(1)イノベーションの最大の源泉である「人材」の育成(2)多様な知の集積・融合を促進し、イノベーションを創出する「場」の形成(3)科学技術、教育、知財、規制、税、ベンチャー育成、インフラ整備等を含む総合的なイノベーション政策のあり方(4)パラダイムシフトや地球規模の課題解決に貢献する大規模なイノベーションの創出――などの改革方策を示す必要がある。

意見交換

参加者の意見要旨は次のとおり。

【社会第二本部】
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