日本経団連タイムス No.2915 (2008年7月31日)

第7回東富士夏季フォーラム開催

−「グローバル化の中での日本企業の針路」テーマに


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は24、25の両日、静岡・小山町の経団連ゲストハウスで「第7回東富士夏季フォーラム」(議長=張富士夫副会長)を開催した。同フォーラムには、御手洗会長、米倉弘昌評議員会議長をはじめ、副会長、評議員会副議長、関係委員長ら35名が参加。「グローバル化の中での日本企業の針路」を統一テーマに、資源・エネルギー・食料問題、低炭素社会実現への課題、イノベーションによる成長力強化の取組みなどについて、活発な意見交換を行った。討議の結果は25日、「アピール2008‐グローバル化の中での日本企業の針路」として取りまとめられ、公表された。

開会あいさつで御手洗会長は、「自由闊達に議論し、相互の認識を深めたい。議論の結果、一歩踏み出した共通認識が形成できるものと期待している」と述べた。

第1テーマ「グローバルな課題解決に向けた日本産業界の取組み」では、前半に「資源・エネルギー・食料問題等への取組み」をテーマとして取り上げ、岡素之評議員会副議長・資源・エネルギー対策委員会共同委員長が課題提起を行い、これを受けて参加メンバーが、(1)資源・エネルギー問題(2)食料・水問題への取組み(3)日本・世界経済への影響と解決策――についての討議を行った。

後半は、「低炭素社会実現への課題」について、三村明夫副会長が「ポスト京都議定書に向けた課題」と題する発言を行った後、澤昭裕・21世紀政策研究所研究主幹・東京大学先端科学技術研究センター教授が、「地球温暖化交渉と今後の対応」について説明した。これらを受けて、参加メンバーが、(1)ポスト京都議定書と産業界の方向性(2)低炭素社会へのシナリオ――をテーマに討議を行った。

第2テーマ「政治との関係」は、非公開討議として行われ、今秋公表予定の2008年の政党の政策評価などについて議論した。

第3テーマ「イノベーションによる成長力強化」では、榊原定征副会長が課題提起を行い、これを受けて参加メンバーが、日本型イノベーションの再構築のあり方やその実現に向けた具体的方策について討議した。

第4テーマ「変わるべきもの、守るべきもの‐外から見た日本」では、ジェラルド・カーティス・コロンビア大学教授・早稲田大学客員教授が、「失われた10年」後の日本社会や日本人の価値観の変化、グローバル化の中で日本に求められることなどをテーマに課題提起を行い、参加メンバーが、「何を変えて、何を残すべきなのか」「その上でこれからめざすべき日本の針路をどう考えるのか」などについて自由に討議した。

討議の結果、取りまとめられた「アピール2008」では、(1)資源・エネルギー・食料価格の高騰や地球環境問題など、グローバルな課題が山積し、わが国企業を取り巻く環境が厳しさを増しているが、こうした状況を悲観的にとらえるのではなく好機と認識すべきであり、グローバルな諸課題の解決に貢献していくために「日本型イノベーション」を推進していくことが重要である(2)国民の将来不安を払拭するとともに成長力を強化するため、税・財政・社会保障の一体改革が急務である(3)内外の重要課題を解決するためには、政治のリーダーシップが不可欠であり、政治には、国民本位、国益優先の議論を行い、遅滞なく改革を実行することを強く求めたい――という共通認識の下、「資源・エネルギー・食料・水問題」「低炭素社会」「イノベーション促進」「税・財政・社会保障制度の一体改革」に向けた具体的方策の実現に、国民の理解と共感を得ながら、全力で取り組むとの決意を表明した。

【社会第二本部】
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