日本経団連タイムス No.2933 (2009年1月1日)

意見書「環境にやさしい日中関係をめざして」公表

−ビジネス・モデル構築など、日中両国政府に建議


日本経団連は12月16日、「環境にやさしい日中関係をめざして」と題する意見書を公表、即日、日中両国政府に建議した。

意見書は中国委員会(三村明夫共同委員長、中村邦夫共同委員長)が取りまとめたもの。中国委員会では2008年7月に中国の環境ビジネスに実績を有する会員企業の幹部で構成される「環境タスクフォース」(田中達郎座長)を設置、泊まりがけの集中討議を行うなど、鋭意検討を重ね、草案を作成し中国委員会に提出した。中国委員会が意見書を取りまとめ、対外的に公表するのは01年2月以来、およそ8年ぶり。

意見書は、前文と3つの各論で構成されている。

前文では、環境問題が日中関係の重要テーマとなっているとの現状認識を紹介。環境分野での政府間の協力が長い歴史を有する一方で、近年ではビジネスで成果を上げる企業もあり、こうした経験をベストプラクティスとして広く共有していく必要性を指摘している。

各論の「1.日中環境協力における産官学連携の強化」では、中国の環境問題をめぐる状況の把握、中国の環境政策の動き、これまでの環境分野での日中協力の実績、関連の研究成果等に対する正確な理解や評価を行い、その上で、新しい環境ビジネスや日中協力を進めることの重要性を指摘している。そのためには、日本国内において、企業や関連の経済団体、友好団体、政府、大学、研究機関といった産官学が互いの強みを発揮して連携し合えるプラットフォームを日本政府が率先して構築していくべきであると主張している。

続く「2.ビジネス・モデルの構築」では、中国における環境ビジネスが成果を上げられるよう、日中両国政府は政策協調を進め、民間企業が成果を生み出せるようなビジネス・モデルを構築する必要があると主張している。その際、特に中国側の知的財産権の保護、代金回収の保障メカニズム、エネルギー会計監査報告といった中国企業の情報開示の改善などを織り込む必要があると指摘している。

ビジネス・モデルの構築とともに、日本企業による中国企業の工場診断や中国でのパイロット事業が環境ビジネスの推進に有効であるとの観点から、日本政府に支援スキームの創設や拡充を求めている。

「3.環境価値を共有するための活動」では、経済界として、中国の幅広い消費者に「環境」に配慮することの価値や意義を理解してもらうために、日本の企業の製品や取り組み事例を紹介するエコプロダクツ展を北京で開催することを検討してはどうかと提案している。

併せて、先進的な取り組みを行っている企業の活動を参考にして、(1)エコプロダクツの普及(2)クリーンファクトリーの推進(3)エコ行動の実践――などを促進することを目的とする「日中環境貢献宣言」(仮称)を取りまとめることを検討することも盛り込んだ。

意見書の最後には、日本経団連として中国の環境政策の動きを把握し、わが国経済界の取り組みや考えを発信するために、中国の関係機関などと直接対話の機会を持つことを検討する考えを示した。

【国際第二本部アジア担当】
Copyright © Nippon Keidanren