日本経団連タイムス No.2933 (2009年1月1日)

G8ビジネス・サミットをパリで開催

−金融危機への対応などめぐり議論



記者会見する御手洗会長(右)

G8各国の10の経済団体首脳は12月3、4の両日、パリのフランス経団連本部に集い、G8ビジネス・サミットを開催、現下の金融危機への対応などをめぐって議論を行った(カナダ商業会議所は共同声明等には参加したものの、会議は欠席)。日本経団連からは、御手洗冨士夫会長、氏家純一副会長が参加した。G8ビジネス・サミットは、2007年4月のベルリン、08年4月の東京に続いて今回が3回目。9月中旬以降、金融危機が世界に広がり、実体経済にも深刻な影響をもたらす中、臨時に開催されたもの。

当日の議論の結果を「総括」として公表するとともに、「共同声明」を取りまとめた(「総括」「共同声明」の概要別掲)。

なお、次回は09年4月22、23日にイタリアのサルデーニャ島で開催される予定である。



G8ビジネス・サミット総括〜未来のために〜概要

御手洗冨士夫・日本経団連会長、 ペリン・ベッティ・カナダ商業会議所理事長、 ローレンス・パリゾ・フランス経団連会長、 ユルゲン・R・トゥーマン・ドイツ産業連盟会長、 エンマ・マルチェガリア・イタリア産業連盟会長、 アレクサンドル・ショーヒン・ロシア産業家企業家連盟会長、 マーティン・ブロートン・英国産業連盟会長、 トーマス・J・ドナヒュー・全米商業会議所理事長、 ピーター・ロビンソン・米国国際ビジネス評議会理事長、 エルネスト・アントワヌ・セリエール・ビジネス・ヨーロッパ会長

  1. 現在の危機は、開かれた市場経済の基本原則に疑問を投げかけるものではなく、主として技術的、規制上の早急な対応を求めるものである。

  2. 今日、生産、投資、輸出の継続によって経済を後退局面から救い出すことができるのは企業だけであり、この点を強調しておきたい。

  3. 政府のマクロ経済政策は大胆であると同時に財政赤字への配慮が重要であり、また、他国への影響にも留意しなければならない。

  4. われわれは、G20共同宣言(11月15日、ワシントン金融・世界経済に関する首脳会合)を全面的に支持するとともに、グローバル経済において重要な役割を担う国際機関に対し貢献する。

  5. WTO加盟交渉およびドーハ開発アジェンダの野心的でバランスのとれた早期妥結を求める。

  6. われわれは、開かれた市場経済の中で企業が倫理の徹底、責任ある行動を誓う。


G8ビジネス・サミット共同声明〜未来のために〜概要

日本経団連、 カナダ商業会議所、 フランス経団連、 ドイツ産業連盟、 イタリア産業連盟、 ロシア産業家企業家連盟、 英国産業連盟、 全米商業会議所、 米国国際ビジネス評議会、 ビジネス・ヨーロッパ

世界は未曾有の金融・経済危機に直面し、各国には対話と協働の下で迅速な行動が求められている。ワシントンG20サミットでは危機に対する大胆で果敢な行動の必要性が確認された。
ここに、経済界のリーダーは、金融市場の安定と信用回復、経済の安定と成長に向けた提言を行う。

1.危機克服のための開放的な経済政策、革新的解決、連携

経済界は、G20共同宣言に示された改革に向けた原則を支持すると同時に、自由な市場経済、透明性、責任、開かれた貿易投資の4点をコア原則として提案する。政府は、まず、銀行融資や資本市場機能の正常化を図るべきである。政府のマクロ経済政策は大胆であると同時に財政赤字への配慮が重要である。また、われわれは、WTOドーハ開発アジェンダの野心的でバランスのとれた早期妥結を期待する。調和したグローバルなアプローチ、適切な規制に基づく金融市場改革を支持する。企業主導による経済回復と危機克服のための連携が必要である。

2.金融市場改革に向けた提言

危機解決のためには金融市場改革が必要である。

  1. 金融市場はグローバルであり、規制について各国の規制当局が国際的協議・協力を図ることが重要である。

  2. 会計基準はビジネス言語であり、経営者や投資家などへの情報提供が目的である。会計基準が市場へ与える影響についての検討が必要である。

  3. 金融危機の中で格付け機関の役割、責任が重要であり、各国政府による適切な規制(仕組み商品格付けのあり方、登録制など)が必要である。その際、民間企業に追加的な負担が生じないようにすべきである。

  4. 金融市場において重要性が高まっているさまざまなファンドの透明性を高めるよう、国際的な協力が必要である。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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