日本経団連タイムス No.2958 (2009年7月9日)

世界経済フォーラム(WEF)サマンズ氏との懇談会を開催

−WEFの取り組みなどで説明を聴く


日本経団連は、6月23日、電力・自動車・鉄鋼・セメントなど主要業界の関係企業幹部と、世界経済フォーラム(WEF)の気候変動・エネルギー問題担当のマネージング・ディレクターであるリチャード・サマンズ氏との懇談会を開催し、WEFの取り組みにつき説明を聴くとともに、国境を越えた官民連携のあり方について活発な意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ WEFとしての提言取りまとめに向けた取り組み

冒頭、サマンズ氏より、WEFとしての提言取りまとめに向けた取り組みについて、説明があった。

「WEFでは昨年、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)との連携の下、気候変動に関する提言を取りまとめ、G8首脳に提出した。この提言が評価され、本年1月には、スイス・ダボスにおいて、G20議長国である英国のゴードン・ブラウン首相より『昨年の提言のコンセプトを踏まえ、どのような官民連携の枠組みを構築すべきか。特に投資や技術協力、エネルギー効率に係る分野について、さらに踏み込んだ具体的な提案を行ってほしい』という要請を受けた」と述べた。

さらに、「そこで、WEFでは現在、本年9月の国連総会での各国政府首脳への提出をめざし、官民連携の枠組みに関する提言を取りまとめるべく、議論を重ねているところ」とした。

■ 日本経団連との協力の可能性

サマンズ氏は、わが国産業界のセクター別アプローチなどを踏まえた、国際枠組のあり方に関する日本経団連提言を高く評価。「WEFとWBCSDが昨年取りまとめた提言は、エネルギー効率に関する日本の取り組みを踏まえたもの。民間企業のグローバルな連携を通じてセクターごとに国際比較を行い、当該セクターにおけるベスト・プラクティスを探る取り組みは有益。新興市場の企業にとっても、自国に適用可能な最高の技術を学ぶ機会を提供し、セクター内でエネルギー効率を高めようとするダイナミズムをもたらす」と説明した。

その上で、「日本産業界の経験を提示する格好の機会にもなるので、日本経団連にも提言への協力をお願いしたい」と述べた。

■ 官民連携に関するセクター別取り組みの具体例

これを受け、日本経団連側出席者から、官民連携に関するセクター別の取り組みについて具体的な紹介があった。

セメント業界からは、WBCSDにおけるセメント産業の活動とAPP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ=日米中など7カ国の官民が連携する枠組み)を通じた具体的な取り組みにつき紹介があった。

また、鉄鋼業界からは、APPのほか、世界鉄鋼協会における「CO2ブレークスルー計画」や技術普及・移転のための取り組みなどにつき説明があった。

さらに、電力業界では、APPとe8(電力首脳会議)という2つの枠組みを活用してセクター別アプローチを推進している現状を説明。APPの活動がアジア・太平洋にとどまることなく、アフリカや中東など他地域にも広く認知されるよう取り組みたいと述べた。

これらの意見を受け、サマンズ氏は、産業の効率性に関する対話を促進するような公的な枠組みが存在することが望ましいとし、ポスト京都議定書における国際枠組を構築する観点からも、セクター別対話を制度化する適切な枠組みを構築することが重要であるとコメントした。

【環境本部】
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