日本経団連タイムス No.2969 (2009年10月8日)

「平成22年度税制改正に関する提言」公表

−税制抜本改革、道筋明示して着実な実現を


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は、新政権および新しい税制調査会の発足を踏まえ、2日、「平成22年度税制改正に関する提言」を公表し、新政権はじめ関係方面に建議した。提言の概要は次のとおり。

<税体系の抜本改革のあり方>

少子・高齢化に対応した社会保障制度の確立、経済成長力の強化、財政の健全化といった諸問題に対応するために、今後5年間程度のスケジュールを明確に示し、着実かつ段階的に税制抜本改革の実現を図ることが必要。

  1. 持続可能な社会保障制度の確立に向けて、その安定財源を確保していくことが重要。社会保障費用の増加分は消費税によって賄うことが適切。景気回復を前提に、国民的な議論を進めていくことが必要。
  2. 世界各国で法人税率引下げ競争が進むなか、国際的な整合性を踏まえた法人実効税率の引下げ(30%目途)が重要。
  3. 少子化対策等の観点から「給付付き税額控除」の導入を図るべき。
  4. 社会保障給付や納税にも利用できる番号制度を確立していくことが必要。
  5. 地球温暖化対策の観点から、税制のグリーン化を推進することは望ましい。環境目的の新たな負担を伴う新税の導入等には反対。

<平成22年度税制改正に関する提言>

平成22年度税制改正において、早期の景気回復や経済活力の強化に資する税制措置の実現が必要。

  1. 研究開発投資は中長期的な利益の源泉であり、わが国企業の国際競争力を維持・強化するうえで、研究開発促進税制等の拡充は不可欠。
  2. 不況の影響から企業が早期立ち直りを図ることができるよう、欠損金の繰越期間の延長および繰戻還付の復活・延長が必要。
  3. わが国企業の円滑な国際展開を進める観点から、タックスヘイブン対策税制などの国際課税の見直しが必要。
  4. 企業グループの一体的経営が拡大・深化するなかで、連結納税制度の改善ならびにグループ経営に整合的な税制の整備を図るべき。
  5. 年金税制については、企業年金に係る特別法人税の撤廃や確定拠出年金税制の拡充(マッチング拠出容認等)を図るべき。
  6. 暫定税率や税目の廃止を含む自動車・燃料関係諸税の抜本的な見直しが不可欠。また、自動車グリーン税制、エコカー減税の延長・継続が必要。
  7. 住宅・土地関連税制の各種特例の延長を図るべき。
  8. 各種租税特別措置について、本来の政策目的に照らし、広く活用され有効に機能しているものについては、恒久措置として法人税法などの本則に盛り込むか、適用期限の延長を図るべき。
【経済基盤本部】
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