日本経団連タイムス No.2980 (2010年1月14日)

メキシコ経済に対する日本企業の貢献を調査

−第28回日本メキシコ経済協議会に向けて


日本メキシコ経済委員会(小枝至委員長)は、昨年7月に公表した提言「日本・メキシコ経済連携協定の再協議に関する要望」の実現に向けた活動の一環として、メキシコ経済に対する日本企業の貢献について、委員を対象とするアンケート調査を実施した。調査結果の概要は以下のとおり。

■ 貿易関係の拡大

日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)が2005年4月に発効して以降、メキシコからの輸入は、牛肉、鶏肉、オレンジなどの関税割当の設定品目を含め、着実に増加している。
また、日本企業は、従来からメキシコの輸出促進措置を活用し、日本から輸入した中間財を加工したうえでメキシコから第三国へ輸出してきた。これにEPAによる関税削減等の効果が加わったことで、米国市場への輸出拠点としての重要性が一層高まっている。

■ 投資拡大による貢献

日本からの投資は、日墨EPAの発効を視野に入れ、急増してきた。日墨EPA発効後は、関税削減効果のほか、無税輸入割当の恩恵を受け、完成車の輸出・生産が活性化している。これにより、設計開発機能を米国からメキシコへ移管する事例も出ている。このほか、世界的なモーダルシフトの流れを踏まえ、メキシコに鉄道車両用電気品の専用工場を新設する動きもみられる。
また、日墨EPAにより、政府調達において欧米諸国と同等の競争環境が実現したことで、エネルギーインフラや社会インフラの整備、省エネや再生可能エネルギー分野における日本企業の取り組みが拡大している。
さらに、メキシコは米国経済との関係が強いことを背景に、自動車、自動車部品、電気をはじめとする幅広い分野で、日系企業の米国拠点からの投資も多くみられる。しかし、これは日本の投資統計では把握されないという問題がある。
これらの投資の拡大により、日本企業はメキシコでの雇用創出にも貢献している。今回の調査では、EPA発効後、メキシコにおける雇用数が漸増傾向にあることが示された。

■ 日本メキシコ経済協議会の開催

現在、交渉が進められている政府間の再協議により、日墨EPAが改定され、日本企業のメキシコ事業が拡大すれば、メキシコ側にも大きなメリットがもたらされる可能性が高いことについて、メキシコ側の理解を求めていく必要がある。
日本メキシコ経済委員会では、今年2月、カウンターパートのCOMCE(メキシコ国際企業連合)とともに、カルデロン大統領を迎えて第28回日本メキシコ経済協議会を開催する。そこで、日本経団連の提言の内容ならびに日本企業のメキシコ経済に対する実質的貢献について、大統領はじめ幹部に直接伝えることとしたい。また、再協議交渉においてメキシコ側が農産品貿易の拡大を求めていることを踏まえ、食料ビジネスの活性化に向けた建設的な意見交換を行うことを期待している。

【国際協力本部】
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