日本経団連タイムス No.2990 (2010年3月25日)

四国地域経済懇談会を松山で開催

−地域の競争力強化、社会基盤整備、道州制などで意見交換


あいさつする御手洗会長

日本経団連(御手洗冨士夫会長)と四国経済連合会(四経連、常盤百樹会長)は10日、松山市内のホテルで第46回四国地域経済懇談会を開催した。懇談会には、日本経団連から御手洗会長、副会長らが、四経連からは常盤会長をはじめ会員約150名が参加、「新たな発展へ向け、四国からの確かな布石を」をテーマに意見を交換した。

開会あいさつした四経連の常盤会長は、「四国経済は生産活動に回復の動きは見られるものの、足取りは確かなものといえず、構造的にも人口流出が続くなど厳しい状況である。四国の持続的発展のためには、地域自らが新しい成長を切り拓き、一丸となって進んでいかなければならない」と述べた。そのうえで、これからの四国が発展していくための基本課題として、(1)四国の特性や強みを活かし競争力を発揮すること(2)交通インフラ整備を推進すること(3)道州制を実現すること――の3点を挙げた。

続いてあいさつした日本経団連の御手洗会長は、日本経済は最悪期を脱しつつあるものの、いまだ予断を許さない状況が続いているとの認識を示したうえで、今こそ日本の強みを活かし、新たな成長を実現する視点が必要と指摘。こうした認識のもと、1月に公表した「2010年の重要政策課題」で掲げた項目に積極的に取り組んでいくとの意向を示した。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、日本経団連側から、森田富治郎副会長が「経済危機脱却後を見据えた新たな成長戦略」、清水正孝副会長が「道州制導入に向けた取り組み」を、大橋洋治副会長が「経営労働政策委員会報告」について報告した。

一方、四経連側からはまず、青木章泰副会長が、地域特性を活かした四国一体となった活性化の取り組みについて報告。4県の持つ魅力や資源を組み合わせたり、各県に共通する課題を4県が連携して克服するといった、四国が一つになった取り組みが、経済界だけでなく、自治体や大学の間でも一段と顕著となっていることを報告した。

次に鴻池正幸副会長が、道州制・四国州の実現に向けた取り組みについて報告。四経連では昨年3月に道州制に関する提言を取りまとめ、国民の関心を高めるための具体的なイメージの提示や、道州制実現に向けた最大の課題について提言していることを紹介した。

続いて麻生俊介副会長が、「地域の自立的発展を支える社会基盤整備の促進」について発言し、四国における最優先課題の一つとして、四国4県を8の字型に結ぶ高速道路「四国8の字ネットワーク」の早期実現を挙げた。四国東南部や西南部は高速道路がつながっていないことを指摘し、「四国各地とアジアを短時間で結び、アジアの成長の活力を四国全域に浸透させていくうえでも高速道路の整備が不可欠」と訴えた。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、四経連側から、(1)アジアとの経済交流の促進(2)新たな高速道路料金施策と公共交通のあり方(3)一次産業の活性化(4)少子化問題・子育て支援(5)国際観光の推進(6)地球温暖化対策――の6点について質問があった。

これに対して日本経団連側は、(1)アジアの一員として、その持続的な成長に貢献し、ともに成長していくという姿勢が必要であり、3月15日のアジア・ビジネス・サミットにおいて、地域経済統合の推進と広域インフラの整備等の課題について意見交換を行う(大橋副会長)(2)社会基盤整備にあたっては、四国の国際的なプレゼンスを強化するために必要なインフラ整備と公共交通のあり方についての四国独自のグランドデザインを描き示すことが重要(大橋副会長)、(3)食料自給力を向上させるためには、国内の食料生産基盤を維持・強化するとともに、国民・市場ニーズに対応した開発から生産・流通・販売に至るまで一体的に取り組むことが不可欠(前田晃伸副会長)、(4)少子化対策にあたっては公費対応を基本に重点的に財政を投入すべきことや、待機児童の解消に向けた保育サービスの拡充のための参入規制の見直しが重要。企業の役割としては、生産性向上とワーク・ライフ・バランスの同時達成に向けた取り組みが必要(森田副会長)、(5)外国人観光客の招致には、4県が連携し四国観光の魅力を世界に売り込んでいく広域観光や情報発信の強化が重要(前田副会長)、(6)地球温暖化対策基本法案については、「幅広い国民の声を反映するためのプロセスの積み重ねが必要」「国内排出量取引制度等については、その影響を十分検証し、国民的議論による法制化の判断が重要」「中期目標については、具体的な道筋や政策を明示のうえ、国民の理解と合意が必要」(清水副会長)――と発言した。

【総務本部】
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