日本経団連は12日、「国家戦略としての宇宙開発利用の推進に向けた提言」を発表した。同提言は、6月に政府が策定する「新成長戦略」などに向けて、産業界の考えを取りまとめたものである。概要は次のとおり。
宇宙開発利用は国民にとって身近なものになった。例えば、衛星による気象観測や通信・放送は国民生活に浸透している。また、宇宙科学によるフロンティアへの挑戦は科学・技術を牽引する。自律的な宇宙システムの構築は安全保障に貢献する。
一方、宇宙外交を推進する必要がある。衛星データや宇宙システムを利用した社会インフラを海外に提供できるほか、国際宇宙ステーションの運用・利用を通じて国際協力を進めることができる。
成長戦略として、(1)宇宙機器の国産化の促進(2)長期的かつ安定的な政府調達の確立(3)実用衛星の国際公開調達を規定した1990年の日米衛星調達の廃止(4)PPP(Public Private Partnership)の積極的な活用――が求められる。
また、内外の宇宙利用の拡大や市場の開拓のため、(1)戦略的な技術開発や軌道実証の推進(2)ODAを活用し官民連携による、アジア諸国などへの宇宙システム・サービスの提供――が重要である。
10年後には、わが国の衛星やロケット等が国際市場において受注を拡大し、海外でも日本の宇宙システムによるサービスが活用される姿を描いている。これを目指し、宇宙基本計画に盛り込まれたプログラムのなかで、特に実施を求めるものを当面4年程度の取り組みとして挙げた(図表参照)。
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(提言より一部抜粋) |
宇宙基本法により設置された宇宙開発戦略本部がリーダーシップを発揮し、各省庁の総合調整、予算の調整・管理を行うことが求められる。また、同本部事務局の内閣官房から内閣府への移管や、宇宙庁構想も含めた検討も必要である。
さらに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の見直しとして、本部事務局の移管に伴う内閣府の積極的な関与、利用省庁による共管が求められる。