日本経団連タイムス No.3001 (2010年6月17日)

第11回日本ロシア経済合同会議をモスクワで開催

−ロシア経済近代化やビジネス環境の整備をめぐり意見交換


メモランダムを交換するショーヒン委員長(左)と岡委員長

日本経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は8日、モスクワで、ロシア産業家企業家連盟(RSPP、アレクサンドル・ショーヒン会長/対日経済関係発展国家委員会委員長)と、第11回日本ロシア経済合同会議を開催した。日本側からは約60名、ロシア側からは約90名が参加し、二国間経済関係の一層の強化に向けて、活発な意見交換が行われた。

ロシア経済の「近代化」や「輸送インフラ整備」に関する協力

日ロ経済関係は一昨年来の世界的な金融・経済危機による停滞から徐々に回復しつつあり、多くの日本企業は、引き続きロシアの経済発展の潜在力を高く評価している。そうしたなか、今回の合同会議では、メドヴェージェフ大統領とプーチン首相が積極的に推進する「近代化」を大きなテーマの一つに取り上げ、技術集約型産業分野における両国の協力の可能性について議論を深めた。

ロシア経済の近代化の具体論で、ロシア側は従来の資源エネルギーに過度に依存する経済からの脱却を推進する方針を説明し、日本側は「省エネ・再生可能エネルギー分野」における先進的な技術と豊富な経験を紹介した。両国代表団は日本の技術と経験を積極的に活用することが重要であるという点で一致した。

また双方は、極東地域の発展を視野に入れた鉄道・港湾をはじめとする輸送インフラ整備により、二国間の物流の活性化を図るとともに、従来のエネルギー・鉱物資源の開発のみならず、ロシア産穀物のアジアへの輸出など農業分野における新たな市場開拓や研究開発投資等に中長期的に取り組む必要性を強調した。

ロシアのビジネス環境整備に向けて努力を傾注

日本企業にとってロシアは単なる市場にとどまらず、生産拠点としても重要性を増しており、事実、従来の資源エネルギー分野に加えて製造業分野でも日本企業の対ロシア投資は増加しつつある。日本側は、今後の日本企業による対ロシア投資の促進には、同国がビジネス・投資環境整備に継続的に努力することが重要であると指摘した。

他方、ロシア側からは、将来の電子通関や電子公証人制度等、IT技術を駆使した業務効率化に関する計画が紹介され、書類書式の統一をはじめ運用に向けた具体的な課題も挙げられた。

こうした意見交換を踏まえ、閉会式で両委員長はメモランダムに署名し、両国経済界が日々のビジネス活動の課題に関する認識を共有し、良好なビジネス環境の実現に向けて一層の協力強化を目指すことで合意するとともに、今次合同会議の成果に基づき、多様化する二国間経済関係の一層の拡大・強化に鋭意取り組むことを確認した。

【国際経済本部】
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