日本経団連タイムス No.3002 (2010年6月24日)

直嶋経産相はじめ経産省幹部と懇談

−産業構造ビジョンや成長戦略の具現化などで議論


あいさつする直嶋経産相

日本経団連(米倉弘昌会長)は16日、東京・大手町の経団連会館で、経済産業省幹部との懇談会を開催した。懇談会には、経産省から直嶋正行経済産業大臣、松下忠洋経済産業副大臣、増子輝彦経済産業副大臣、高橋千秋大臣政務官、近藤洋介大臣政務官らが、日本経団連から米倉会長、渡文明評議員会議長、副会長、関係委員長らが出席した。

冒頭あいさつした米倉会長は、新内閣の掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」に言及し、超党派による財政健全化の取り組みの早期実現、新成長戦略の具体化とそれを実現していくための環境整備を求めた。とりわけ、今月公表された「産業構造ビジョン」(以下、ビジョン)で示された施策が着実に実行されることを期待するともに、経済界としても産業競争力の強化に向け努力していくと述べた。

続いてあいさつした直嶋大臣は、「強い経済を実現するため、産業構造ビジョンを策定した」と表明。新成長戦略の工程表にビジョンの内容を盛り込み、着実に実行していくとの方針を示した。

その後の意見交換では、日本経団連側から、「ビジョンで描いた将来像を実現していくことが重要。そのためには投資効果に基づいた政策の優先順位付けや規制改革の推進がカギ」(西田厚聰副会長)、「内外からの投資を呼び込み、国内雇用の維持・創出を図る観点から、成長戦略の柱として法人実効税率の引き下げを位置付けるとともに、研究開発促進税制を維持・拡充することが不可欠」(森田富治郎副会長)、「ビジョンにおいて政府研究開発投資のGDP比1%への引き上げが明記されたことは大変心強く、新成長戦略のなかでもこの数字を明記するとともに、増額分を産業競争力強化に資する技術開発や実証研究等に重点的に配分することが重要」(榊原定征副会長)、「環境制約を技術によって克服し持続的な成長に結び付けていくことが重要。経団連では現在、低炭素社会実行計画を取りまとめており、産業界の主体的取り組みを政府の対策のなかに位置付けるとともに、官民が率直に意見交換できる場を設けていただきたい」(坂根正弘副会長)、「WTOドーハラウンドの早期妥結とともに、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を視野に、2015年をめどにASEAN+6、環太平洋経済連携協定(TPP)など経済統合の核を形成することを期待」(佐々木幹夫副会長)などの発言があった。

これに対し直嶋大臣は、「問題意識を共有できた」「法人税改革、研究開発投資の促進は省庁間にまたがる問題でもあるが、日本全体の成長戦略として位置付け議論していく」「温暖化対策については、排出量取引制度、再生可能エネルギーの全量固定買取制度、地球温暖化対策税を3点セットで考え調整する必要がある。産業界とコミュニケーションを図っていきたい」「ドーハラウンドの妥結に向けた決意を政治的意思として発信し、交渉に取り組む。2020年のFTAAPの構築に向け努めたい」などとコメントした。

【産業政策本部】
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