日本経団連タイムス No.3002 (2010年6月24日)

特区制度に関する説明会を開催

−特区活用した需要創出の取り組みなど


日本経団連は14日、東京・大手町の経団連会館に内閣官房地域活性化統合事務局の青木由行参事官を招き、特区制度に関する説明会を開催した。

政府においては、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(2009年12月8日閣議決定)に基づき、特区制度を活用した新たな需要創出に向けた取り組みを進めるとともに、今年6月7日から7月6日までの間、民間企業も含めて、構造改革特区と地域再生に関する提案を広く募集している。前者は企業やNPOの活動を妨げている規制の緩和を、後者は税財政・金融上の支援措置を通じて、経済の成長力を高めるような改革や地域の活性化などの効果をねらったものである。政府は、根拠法令等を含めた提案書の記載に関する事前相談制度も設けており、提案の実現に向けた手助けも行っている。

また、政府の新成長戦略の策定作業も大詰めを迎えており、そのなかで柱となる重要政策の一つとして、規制の特例措置と資金面の支援措置等を一体的に講じる「総合特区」の創設に向けた検討も進められている。検討を主導している大塚耕平内閣府副大臣が提案するコンセプトでは、民間企業やNPOと国・自治体等が対等な立場で参画する実施主体が総合特区の運営・管理を行うことが想定されている。当該実施主体は資金拠出や人材の派遣を行うとともに、政府からの規制・制度の特例や財政支援の対象となるだけでなく、権限を自ら行使する受け皿となり得る。

具体的な姿としては、国際戦略特区と地域活性化特区の二種類がある。前者は限定した地域のみで実施されるものであり、わが国全体の成長を牽引し、各分野において国際レベルでの競争優位性を持ち得る場合に適用される。後者は全国あらゆる地域を対象として、特色ある産業の育成や地域的・社会的な課題の解決を目的とする。

今後は、新成長戦略の公表を受けて、来年の通常国会に法案を提出すべく制度設計が進められるとともに、8月末の予算の概算要求や年末に向けた税制改正要望を念頭においた作業が進められる予定である。

会合では、青木参事官の説明と質疑応答の後、「まちづくり」「地域振興」「物流インフラ」の3つのテーマごとに分科会に分かれ、具体的なアイデアや提案に関して、それぞれの参加者と同席した内閣官房担当官との個別の意見交換が行われた。

【産業政策本部】
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