日本経団連タイムス No.3002 (2010年6月24日)

総務省ICT政策タスクフォースの検討状況について説明聞き意見交換

−情報通信委員会


日本経団連の情報通信委員会は11日、東京・大手町の経団連会館で、総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の中間取りまとめ等に関する説明会を開催し、総務省情報通信国際戦略局の谷脇康彦情報通信政策課長と同総合通信基盤局の淵江淳事業政策課長から説明を聞いた後、意見交換した。総務省の説明概要は次のとおり。

総務省は、5月18日に、原口一博総務大臣が発表した「ICT維新ビジョン2.0」を具体化した中間取りまとめ等を発表した。「ICT維新ビジョン」の柱は、(1)2015年ごろをめどに「光の道」100%(全世帯がブロードバンドサービスを利用)を実現(2)ICTの活用により、日本の潜在成長率2.6%を実現(3)ICTの活用により、2020年にCO2排出量の10%以上削減を実現――の3つである。

現在、ブロードバンドは日本の全世帯が利用できるインフラが整っているが、30Mbps以上の超高速ブロードバンドは10%の世帯が利用できない。「光の道」構想では、ケーブルや無線も含め「100Mbps以上」のインフラを整備すべきとの方向性が示された。インフラ基盤整備は民間主導が原則であるが、民間事業者のインセンティブを高めるような新たな公的支援を検討する必要がある。

ブロードバンドの利用率は、現在全世帯の37%にとどまっており、利活用の推進が課題である。そのため、(1)事業者間の公正競争を一層活性化する(2)地方自治体や学校、病院等の公共機関で積極的に利活用を図る(3)環境・医療・教育・行政等の分野におけるICT利活用を推進する――等が必要である。

ICTによる成長を実現するためには、スマートグリッドの推進、次世代社会インフラのパッケージでの海外展開、高度ICT人材の育成、クラウドによる知識・連携の強化等が必要である。今後、ロードマップを明確化し、予算要求につなげていく予定である

原口大臣からは、(1)「光の道」推進のための法案(2)電子行政推進のための法案(3)ICT利活用促進一括化法案――の3つを次期通常国会に提出するよう指示があった。ICTの利活用を阻んでいる規制について産業界からも情報提供してほしい。

■ 意見交換

続く意見交換では、「ICT活用には、各省庁の連携がますます求められる。連携を進める秘策はあるのか」「成長戦略、ICT戦略等との整合性をどう図っていくのか」等の意見が出された。谷脇課長からは、「例えば、スマートグリッドは、経済産業省を中心として関係府省が連携するという基本が重要である」等のコメントがあった。

【産業技術本部】
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