日本経団連タイムス No.3004 (2010年7月8日)

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」「仕事と生活の調和推進のための行動指針・数値目標」の新たな合意結ぶ

−仕事と生活の調和推進官民トップ会議に米倉会長が出席


官民トップ会議でメンバーと握手する菅首相(中央)
と米倉会長(左から2人目)(写真提供:内閣府)

日本経団連の米倉弘昌会長は6月29日、首相官邸で開催された「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」に出席した。会議には、菅直人総理大臣、古賀伸明連合会長ら官民トップ会議メンバー15名が出席し、メンバー全員の合意により、政労使トップによる「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」ならびに「行動指針・数値目標」の新合意が結ばれた。

■ 新合意の経緯

2007年7月、仕事と生活の調和推進官民トップ会議が官房長官を座長として、経済界、労働界、地方公共団体の代表者、有識者、関係閣僚により発足した。その目的は、仕事と生活の調和の実現に向けた官民一体となった取り組みを推進することにあり、同会議において検討を重ね、同年12月に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」ならびに「行動指針・数値目標」が合意された。

この「憲章」「行動指針」策定後の諸施策の進捗や経済情勢の変化を踏まえ、新たな視点や取り組みを盛り込み、また、政労使トップの交代を受けて、メンバーに新たに総理大臣を迎え、仕事と生活の調和実現に向けて一層積極的に取り組んでいく決意を表明するため、新たな合意が結ばれることとなった。

■ 憲章・行動指針・数値目標の主な改定点

新たに合意された「憲章」は、仕事と生活の調和の必要性、目指すべき社会の姿を示して、これに取り組む決意を表明した。特に前文においては、(1)社会全体で仕事と生活の調和の実現を追求(2)仕事と生活の調和と経済成長は車の両輪(3)だれもが意欲と能力を発揮して労働市場に参加することは、わが国の活力と成長力を高める――などの文言が盛り込まれた。また、「憲章」「行動指針」には、政府が策定した新成長戦略にも記載されている市民やNPOなどによる「新しい公共」活動への参加機会の拡大や「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)の実現など、新たな視点が盛り込まれた。

数値目標については、前回の合意で2017年までに社会全体として達成することを目指した目標と、今年6月の雇用戦略対話において取りまとめられた数値目標や新成長戦略に盛り込まれた数値目標に対する諸施策との整合性を図り、2020年までに達成することを目指す目標として策定された。

■ 新合意にあたり(米倉会長、菅総理あいさつ)

新合意にあたり米倉会長は、「新たな合意は、各主体がその役割や取り組みの方向性について、再確認する大変よい機会でもある」として、歓迎の意を示すとともに、政府に対して、「仕事と生活の調和推進には、経済成長が欠かせないものであり、新成長戦略を早期かつ着実に実行してほしい」と期待を表明した。そのうえで、日本経団連としても、経済状況、職場や働く者の理解、意識改革など、仕事と生活の調和推進に向けた課題は多いものの、今後も継続して推進に取り組むと発言した。

古賀連合会長の決意表明の後、菅総理からは、「元気な日本を復活させるためには、国民一人ひとりが、仕事上の責任を果たす一方で、健康で豊かな生活ができなければならない。また、だれもが労働市場に参加することは、わが国の成長力を高めるとともに、少子化の流れを変え、持続可能な社会の実現にも資するものであり、仕事と生活の調和は経済成長と車の両輪の関係にあると言える。本日の新合意の意義は大きく、取り組みを推進していく」との発言があった。

【労働法制本部】
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