日本経団連タイムス No.3005 (2010年7月15日)

プラタ・コロンビア商工観光相との昼食懇談会開催

−経済関係強化へ投資協定やEPAで意見交換


プラタ商工観光相(中央)と
小島日本コロンビア経済委員長(左)

日本経団連の日本コロンビア経済委員会(小島順彦委員長)は2日、東京・大手町の経団連会館で、投資促進を目的として訪日中のプラタ商工観光大臣との昼食懇談会を開催した。懇談会では、両国の経済関係強化のため、現在交渉中の投資協定の見通しや今後のEPA(経済連携協定)締結の可能性、8月に就任するサントス新大統領の政策などについて、大臣から話を聞くとともに、意見交換を行った。

プラタ大臣は、ウリベ大統領の過去8年間の任期を振り返り、治安を強化することで、犯罪を減少させ、コロンビアの信頼を取り戻したと述べた。また、この間、輸出は3倍に伸び、観光客も300万人に達したとの成果を紹介した。さらに、外国直接投資は、年間1.5億ドルから8億-9億ドルに拡大し、GDP成長率も2007年には過去最高の7.7%に達したと説明。大幅な減税を実施するなどビジネス環境整備にも取り組み、世界銀行の「Doing Business」では、中南米で最もビジネス環境の整った国であるとの評価を受けたと述べた。

日本とコロンビアの経済関係については、治安の悪化が原因で20年間停滞していたが、今こそ再構築すべき時期であると指摘。そのために投資協定の交渉を始め、近くまとまるとの見通しを示すとともに、近い将来、租税条約も締結されるだろうと述べた。EPAについても、コロンビア側にはいつでも交渉開始の用意があるとし、本件に関して、日本の経済界による政府への働きかけを求めた。

また、先般の大統領選挙で勝利を収めたサントス次期大統領は、ウリベ政権の政策を踏襲するが、必要に応じて独自の政策を打ち出していくだろうとの見方を示した。

■ 意見交換

意見交換でプラタ大臣は、新車に対するバイオエタノールの基準であるE85(バイオエタノールを85%含む)については、かなり高い基準であることから、実際にはE10(バイオエタノールを10%含む)でも認めるなど柔軟な対応を取っており、今後も過度に高い基準を課すことはないと説明した。

失業率については、ウリベ政権発足当初の17%から一時9.9%まで下がったが、経済危機の影響で現在は12%であると説明した。これに関しては、衣料や食料など雇用を生む産業を中心に、最大の貿易相手国であったベネズエラの輸入禁止措置の影響が大きいと述べた。また、貧困率については、ウリベ政権前の54%から、現在は46%と改善しており、犯罪率についても改善を図るため、引き続き軍や警察によるテロや麻薬取り締まりを行っていくことになるとの見通しを示した。

また、日本側からEPAの早期締結についての期待が表明されたことを受けて、日本とコロンビアは補完関係にあり、両国にとってメリットのある協定にしていきたいと意欲を示した。

最後に、コロンビアはAPECへの加盟を希望しており、今年、日本で開催される会合に、ぜひ招待してほしいと述べた。そのうえで、サントス大統領の訪日が実現すれば、日本経団連とも会合を持ちたいとの期待を示した。

【国際協力本部】
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