日本経団連タイムス No.3005 (2010年7月15日)

ISO26000説明会を開催

−普及促進に向けパネル討議など展開


ISO26000説明会でのパネルディスカッション

日本経団連は5日、東京・大手町の経団連会館でISO26000説明会を開催し、会員企業トップや役員約70名を含む総勢約370名が参加した。ISO26000は、ISO(国際標準化機構)において6年前から検討が進められている「社会的責任に関する国際規格」であり、今年5月にコペンハーゲンで開催された作業部会の総会で、年内に発行するめどがたったものである。

■ あいさつ

鍛治舍巧企業行動委員会社会的責任経営部会長から、「日本経団連では、企業にとって使い勝手のよい規格にするため、規格策定作業に積極的に関わってきた。今後は、ISO26000の普及促進に向けた活動を行うとともに、今年9月を目途に見直し作業を行っている企業行動憲章に、ISO26000の内容を取り込んでいきたい」とあいさつした。

■ ISO26000の概要と各章のポイント

続いて、損害保険ジャパンの関正雄理事・CSR統括部長から、ISO26000の特徴として、(1)あらゆる種類の組織を対象とした、社会的責任に関する世界初の国際規格であること(2)ガイダンス文書であって、マネジメントシステム規格や認証を目的とした規格ではないこと――などの説明があった。また、適用範囲、開発プロセス、構造および主要論点と課題等について説明があった。
その後、ISO26000の規格づくりに参画した関氏のほか、国際労働財団の熊谷謙一副事務長、CSOネットワークの黒田かをり共同事業責任者および日本経団連の斎藤仁政治社会本部長らが、規格の序文から附属書に至る各章のポイントについて説明を行った。

■ パネルディスカッション

日本経団連ISO対応チームの鈴木均座長(日本電気CSR推進部長)のコーディネートの下、熊谷氏、黒田氏、関氏をパネリストとして、パネルディスカッションが行われた。
まず、規格に対する全般的な評価について、各パネリストから、(1)広範な国際的なステークホルダーが参加し、合意を得たものであり、画期的な規格である(2)SR(社会的責任)の課題を網羅的にカバーしており、「人間ドック」ならぬ「組織ドック」として活用してはどうか――などの発言があった。
産業界に期待する点としては、途上国を含むサプライチェーン・マネジメントや、活動拠点のコミュニティーへの貢献面での規格の活用などが挙げられた。
また、中国等の新興国のISO26000への対応や国内規格化の動きなどについても説明があった。
最後に、鈴木氏から、「ISO26000をCSRを推進するためのセルフチェックツールとして積極的に活用してほしい」との期待が述べられた。

【政治社会本部】
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