日本経団連タイムス No.3007 (2010年7月29日)

逢坂総理補佐官を招き地域主権戦略大綱について懇談

−道州制推進委員会


日本経団連は13日、都内で道州制推進委員会(中村邦夫委員長、池田弘一共同委員長)を開催し、逢坂誠二内閣総理大臣補佐官から、6月22日に閣議決定された地域主権戦略大綱について説明を聞くとともに意見交換を行った。逢坂総理補佐官の説明は次のとおり。

地域主権戦略大綱について
説明する逢坂総理補佐官

「地域主権改革」とは、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革である。今回の地域主権戦略大綱では、こうした地域主権改革の理念を実現するための施策や今後の諸課題に関する取り組み方針を明らかにした。

まず大綱のなかで重要な改革として位置付けているのは、ひも付き補助金の一括交付金化である。ひも付き補助金は、地方があらかじめ定められたメニューのなかから施策を選び、それに必要な財源として国から地方に配分される補助金であり、地域の知恵や創意工夫を活かしにくい仕組みとなっている。地方のことは地方の実態に合わせて決めるという地域主権改革を実現するためには、ひも付き補助金を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にすることが必要である。

また、自治体間連携も大綱の目玉の一つである。平成の大合併により基礎自治体では行政の効率化が図られた半面、地域の一体感が得られず疲弊してしまったところも多い。今後は合併以外の手段として、自治体間が連携しながら共通する課題に対処していくことも必要で、自治体間連携は有効な手段になり得る。

さらに、地方の国際競争力を強化するという視点も重要である。産業振興や環境規制、インフラ整備等、都道府県の区域を超える広域行政課題については、広域的な連携を進めることで、国際社会に通用する基盤を備えることが望ましい。あわせて、国の出先機関を原則廃止するとの改革方針も今回の大綱で示しており、出先機関を廃止した場合、その事務の受け皿として広域的な実施体制も整備することを検討する必要がある。これは日本経団連の提言している道州制とも密接な関係を持ってくる。

地域主権戦略大綱を実現する原動力は、政治のリーダーシップと改革の主体となる国民の後押しである。経済界にも引き続き改革の実現に向け支援をお願いしたい。

【産業政策本部】
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