日本経団連タイムス No.3009 (2010年8月12日)

原子力発電推進への取り組みで説明聞く

−2010年度総会開催/むつ小川原開発推進委員会


日本経団連のむつ小川原開発推進委員会(佃和夫委員長)は7月28日、東京・大手町の経団連会館で2010年度総会を開催し、09年度事業報告を行うとともに、10年度事業計画・収支予算、規約改定について、原案どおり承認した。総会では、審議に先立ち、電気事業連合会の高橋祐治原子力部長から、「原子力発電の推進に向けた電気事業者の取り組み」について説明を聞くとともに、懇談した。高橋部長の説明の概要は次のとおり。

電源のベストミックスによる電力の安定供給というエネルギーセキュリティーの観点に加え、地球温暖化問題への対応を着実に推進するために、原子力は重要技術であると考える。電気事業者としては、電力の安定供給の観点から、原子力発電所の新設・増設およびリプレースを円滑に進めるとともに、設備利用率を向上させることが必要であると考えている。さらに、稼働から30年以上経過した設備をより長期間安全に使用するために、既設設備の健全性評価を行い、その評価に基づき必要な保守活動対策などをまとめ、長期保全計画を策定している。

また、エネルギー自給率の観点からも、原子燃料サイクルの確立は極めて重要な課題である。使用済み原子燃料を再処理した燃料(MOX、Mixed Oxide)を部分的に使用したプルサーマルの営業運転が各地で始まるとともに、青森県大間では、2013年度までに、MOXのみを燃料とするフルMOX運転に向け準備が行われている。エネルギー自給を実現するためには、使用済み原子燃料から、再利用可能な燃料を取り出す再処理工場の安全・安定稼働が不可欠である。むつ小川原開発地区では、国内初の商業用再処理工場をはじめとし、MOX燃料工場、使用済み燃料中間貯蔵施設、ウラン濃縮工場といった原子燃料サイクル確立に重要な役割を果たす数多くの施設の建設誘致が進められている。

さらに、電気事業者としては、将来の技術である高速増殖炉サイクルの研究開発を進めるとともに、現在まで培った原子力発電所の設計・建設・運転・保守についてのノウハウを活かしていきたい。今後、国と一体となって、人材育成に協力することを含め、積極的に原子力発電所導入プロジェクトの提案を行うなど、海外での原子力発電所建設の受注に結び付ける活動を行っていきたい。

【環境本部】
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