日本経団連タイムス No.3010 (2010年8月26日)

「グローバル30産学連携フォーラム」開催

−留学生受け入れ推進や環境整備・拡充へ


日本経団連(米倉弘昌会長)は2日、東京・大手町の経団連会館で、政府の国際化拠点整備事業(グローバル30)に採択された13大学、文部科学省との共催で第1回「グローバル30(国際化拠点整備事業)産学連携フォーラム」を開催した。当日は、大学関係者、企業関係者、留学生および駐日各国大使館代表など約300名が参加した。

「国際社会で通用する人材育成が課題」

冒頭、主催者を代表して、慶應義塾大学の阿川尚之常任理事、および文部科学省の加藤重治高等教育局担当審議官から開会あいさつがあり、大学の国際競争力の強化、海外からの留学生に対する魅力的な教育の提供、さらに国際的に活躍できる高度人材の育成を図るうえでの「グローバル30」の果たす役割や産業界との連携への期待が述べられた。

講演する石原共同委員長

続いて、日本経団連の石原邦夫教育問題委員会共同委員長から、高度外国人人材の活用の課題と展望に関する基調講演があった。

石原氏は、「グローバル競争の激化や国内における急速な少子化・高齢化の進行により、わが国を取り巻く内外の社会・経済環境は大きく変化している。そのなかでわが国が、将来にわたって国際競争を勝ち抜いていくためには、既成概念にとらわれずにイノベーションを起こしていける高度な能力を持つ人材や、ビジネスのグローバル化に対応して、多様な文化・価値観を受け入れつつ、主体的に考え行動できるグローバル人材の育成が急務である」ことなどを指摘した。加えて「多くの日本企業では、すでにグローバル人材を育成するための取り組みが行われているが、近年、海外留学を希望する学生や、海外勤務を希望する社員が減少するなど、若い世代に“内向き志向”が広がっていることも事実であり、彼らをいかに“外向き”に変えて、国際社会で通用する人材に育成していくかが、企業にとっても大学にとっても大きな課題である」と強調した。

そのうえで、「経団連においても、教育問題委員会を中心に、日本企業が求めるグローバル人材の姿や求められる素質・能力、およびそれらを身につけるうえで大学に期待される取り組みなどについて検討し、その結果を大学関係者や留学生、グローバル志向の強い日本人学生などに示していく」と述べた。

講演に引き続き、田中明彦東京大学理事・副学長が司会を務め、大学、産業界、政府の代表や元留学生によるパネル討議が行われたが、そこでは、日本企業が留学生を採用する際の課題や、期待される産学連携の取り組みなどについて話し合われた。

フォーラムでは、最後に共同声明を採択。留学生の受け入れ推進や彼らの就職支援、キャリア・パスの確立に至る「留学生受け入れ環境」の整備と拡充に向け、グローバル30採択13大学と日本経団連を中心とした産業界が緊密に連携していくこととなった。

【社会広報本部】
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