日本経団連タイムス No.3012 (2010年9月9日)

サパテロ・スペイン首相と懇談

−スペイン経済の現状など聞く


米倉会長(手前)と懇談するサパテロ首相

日本経団連(米倉弘昌会長)は2日、都内のホテルでホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ・スペイン首相一行との懇談会を開催し、スペイン経済の現状や日・スペイン経済関係の展望などをめぐって意見交換した。サパテロ首相の発言概要は次のとおり。

■ スペイン経済の現状 〜安定成長に向けて一連の改革を実行中

スペインは、70年代の民主化以降、GDPで世界10指に入る経済力を誇る国となった。若く優秀な労働力を有しており、最近は、高速道路、高速鉄道等のインフラ整備が進み、また、金融、インフラ建設・運営、再生可能エネルギー等の分野で世界トップクラスの実力を持つ企業が育っている。

スペイン経済は、今年に入って2四半期連続プラス成長となったものの、雇用を回復・拡大するほどの力強さはまだない。安定成長の実現に向けて、財政安定化計画を策定するとともに、貯蓄銀行を中心とする金融システム改革、経営状況に応じた柔軟な対応を可能とする労働市場改革に着手した。さらに年金制度改革も検討している。スペイン企業の国際化も推進しており、輸出、投資を拡大していきたい。その際、アジア、なかでも日本は最優先地域である。通商関係の拡大こそ、経済回復の原動力であり、今回の訪日の目的もそこにある。

■ 日・スペイン経済関係の展望 〜第三国でのビジネス展開に期待

今年の日本との貿易は輸出入ともに伸びており、また、スペインを訪れる日本人観光客は大幅に増えている。スペインから日本へは約30社が、日本からスペインには約160社が進出している。在スペイン日系企業のうち65社が先端分野の製造業であり、スペイン経済において重要な位置を占めている。

今後は、日本とスペインの企業が協力して第三国においてビジネス展開できるよう支援していきたい。例えば、スペインが強みを持つ水処理、再生可能エネルギーなどの分野に関し、日本が強みを持つ東南アジアやスペインとの関係が深いラテンアメリカ、北アフリカにおけるビジネス展開に向けて、両国企業が協力することが可能である。

また、イノベーションを重視する観点から、今般、日本との間で科学技術協力協定に署名した。また、自動車産業におけるイノベーションが輸出拡大の面でも重要であり、今後大きな需要が見込まれる電気自動車に大いに期待している。

■ 日・EU経済統合協定を支持

スペインは日・EU間のEPA締結を支持している。これが締結されれば、日・スペイン両国間ならびに日・EU間の通商の拡大、長期的な関係の発展に非常に有効と考える。

なお、2012年を「日本におけるスペイン年」としたいと考えている。

【国際経済本部】
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