日本経団連タイムス No.3013 (2010年9月16日)

「平成23年度税制改正に関する提言」公表

−税制抜本改革実現に向け速やかな超党派の議論を


わが国は、深刻な財政赤字に直面しており、また本格的な少子高齢化、人口減少社会が到来するなかで、社会保障制度に綻びが見られ、国民の多くが将来不安を抱いている。また、グローバル競争が一層の激しさを増すなか、わが国経済の持続的な成長と国内での雇用確保に懸念が持たれている。こうした国民の間に漂う将来不安、閉そく感を払拭し、再び経済を成長軌道に乗せ、豊かで明るい国民生活を実現するためには、税制抜本改革を軸に、中長期的な財政健全化の推進、国民が安心できる社会保障制度の確立を一体的に進めていくことが急務となっている。こうした状況を踏まえ、日本経団連は14日、「平成23年度税制改正に関する提言」を公表し、税制抜本改革のあり方、経済活性化等に向け平成23年度税制改正で措置すべき事項を示した。提言の概要は次のとおり。

税制抜本改革のあり方

消費税率の一刻も早い引き上げ、所得税の基幹税としての機能回復、法人税への過度な依存の見直しなどを通じ、社会保障給付をはじめとする中長期的な歳出の増大に対応できるよう、税体系の抜本改革を一体的に実現すべきである。税・社会保障共通の番号制度の整備も急務である。一刻も早く消費税を含む税制抜本改革を断行するため、超党派の議論を速やかに開始し、早期に成案を提示すべきである。

平成23年度税制改正に関する提言

  1. わが国の立地競争力を改善し、内外からの投資意欲を増大させ、国内雇用の維持・増加を図るべく、「新成長戦略」の必須の柱として、少なくとも法人税率を5%引き下げるべき。ただし、税負担の実質的な軽減が必要であり、研究開発促進税制や減価償却制度の見直し等、安易な課税ベースの拡大は厳に慎むべき。
  2. 研究開発促進税制、原料用ナフサ免税、鉄鋼・コークス・セメント製造に係る石油石炭税の免税等、真に必要な租税特別措置については本則化・恒久化すべき。
  3. 研究開発促進税制における税額控除限度額の時限的引き上げ措置の恒久化等が必要。
  4. OECDガイドラインの改定に伴う移転価格税制の改正および執行は、企業の実態・実情を踏まえ、納税者の理解・納得を得ながら進めるべき。
  5. トン数標準税制の適用対象船舶の拡充が必要。
  6. 住宅・都市・土地・PFI税制の延長・拡充等を行うべき。
  7. 金融所得課税のさらなる一元化を推進すべき。
  8. 企業年金等の積立金に係る特別法人税を撤廃すべき。
  9. 環境税の安易な導入には反対。特に、環境目的に新たな負担を伴う新税の導入等は行うべきではない。
  10. 自動車・燃料関係諸税については、旧暫定税率や自動車取得税・自動車重量税を廃止し、簡素化・軽減の方向で総合的な検討を推進すべき。
  11. 税制のグリーン化が必要。
  12. 航空機燃料税の廃止ないしは大幅な削減を行うべき。
【経済基盤本部】
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