日本経団連タイムス No.3013 (2010年9月16日)

コレア・エクアドル大統領と懇談

−両国経済関係の強化と日本からの投資拡大など


コレア大統領(右)と佐々木委員長

日本経団連の中南米地域委員会(佐々木幹夫委員長)は7日、東京・大手町の経団連会館で、日本政府の招待により訪日中のコレア・エクアドル大統領との朝食懇談会を開催し、両国経済関係の強化と日本からの投資拡大をめぐり懇談した。

冒頭、大統領は、70%という国民の圧倒的な支持率を背景に憲法改正を実施し、安定した政策運営が可能となったと述べた。そして、就任から3年4カ月の間に「政治不安の国」というイメージを払拭したと強調し、日本からの投資拡大を求めた。

また、自身がエコノミストであることに加えて、閣僚の3割が経済専門家であることから、調和のとれた経済運営を実施しており、着実に経済危機を乗り越えつつあると説明した。

近年の経済危機は、輸出マーケットの縮小、海外からの投資の減少、GDPの8〜9%を占めてきた在外エクアドル人からの送金の減少、石油価格の低下等の影響をもたらしたと述べた。一方、非石油部門が1%ながらも成長し、失業率もようやく8%を下回り、財政も黒字に転じるなど、回復基調にあると語った。

経済困難にもかかわらず、教育、保健衛生、弱者救済、情報テクノロジーの普及など国民生活向上のための施策や、技術力向上に向けた官民連携、GDPの8%を投じたインフラ整備、クリーン・エネルギーへの投資などに取り組んでいると述べた。また、脱税対策により税収を50%増加させ、汚職を防止するため政府調達を電子化するなど、行政の透明性を確保していることを強調した。

今後重点化する投資分野として、食品加工、木材加工、バイオ医療、石油化学、観光、ソフトウエア、エネルギー、物流などを挙げ、投資家に対するインセンティブとして、今後、三大都市以外への投資には5年間の免税を実施するほか、所得税も現行の40%から22%に下げ、他の南米諸国並みの水準にする予定であると述べた。

質疑では、出席者から、新炭化水素法の導入により、既存の石油開発事業にも新たな契約形態への移行が求められていることから、事業の経済性確保と制度の安定性を求める意見が出された。これに対し、大統領は、エクアドルで損失を被った石油会社は過去になく、今回の新法により契約形態が統一されることで透明性と安定性を確保したいと述べた。

また、環境保護の観点から、エコ商品や設備の導入に対するインセンティブを求める意見に対して、大統領からは、グリーンエネルギーの推進は政府の優先事項であり、生産法により、クリーン・エネルギーを使用した生産プロセスに対して、所得税の減税を実施しているとの説明があった。

【国際協力本部】
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